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ツバサ〜緑髪の王と風の王妃〜

「おはようございます。」

神殿での話を終え、フウ達は食事の部屋へ向かった。

部屋にはフウが部屋を出たときにはまだ寝ていたフェリオの姿もあった。起きたばかりなのか、眠そうに瞳を瞬きしている。

「おはよう、フウ・・・ふぁ」

フェリオは大きなあくびを一つ漏らし、行儀が悪いとクレフに怒られた。いつも繰り広げられているセフィーロ城での朝の風景だった。

いつも以上にこの雰囲気が温かく感じられるのは、心に背負っていた荷を下ろすことが出来たからであろうか。

「フェリオ・・・・」

「ん?」

「いままで・・・ごめんなさい。」

フェリオはフウの謝罪の意味が分からずに、口に運んだフォークをそのままくわえ固まっていた。そしてまた行儀が悪いとクレフに叱られ、フォークを食器の上に戻し、疑問の顔をフウに向けた。

「何がだ?」

「疑ってごめんなさい。私いままであなた達を心の奥で信じていなかったわ。だから、ごめんなさい。」

いまだフウの言っている事がよく理解できず返事に困る。

しかし、フウの表情がいつも以上に穏やかで優しいものであることに気づき、フウの中にあった罪悪感が無くなったであろう事を理解し、小さく頷いた。

いつも以上に穏やかな朝食の雰囲気を破ったのは一人の男の声だった。

「大変だ!!フェリオ!」

大きな緑の帽子をかぶった青年は扉を大きな音を立てて叫んだ。

「アスコット、何があったんだ?」

アスコットと呼ばれた青年は、随分と長い距離を走ってきたのか荒い息を整えようと必死だった。

「窓の・・・外をみて。・・南の窓・・・荒野がある方向を・・・」

とぎれとぎれにそう言い窓の方を指さした。

フェリオ達は言われたとおりに窓を開け、遠くの荒野に目を凝らした。

「・・・なんだアレ?」

遠く位置しているので肉眼ではハッキリと確認できないが、大勢の何かがこのセフィーロ向かって移動している。人・・・だろうか。

「さっきまで聖獣にのって荒野の方に行ってたんだ。そしたら大勢の人がこっちに向かってきてて・・・武器を持ってたみたいだし、急いで知らせに来たんだ。」

アスコットは荒野で見た光景をありのままにフェリオ達に話した。

武装した集団がこのセフィーロに向かってきている。アスコットが言うには移動のスピードは速く、休憩を入れずに進んだら、正午にはセフィーロに着くという。

「反乱軍か?」

クレフはアスコットに尋ねた。アスコットは首を横に振りクレフの質問を否定した。

「違うと思う。掲げている旗が彼らのモノとは少し違っていたから・・・えっと確かこんな感じの・・・」

アスコットは近くにあった紙とペンを引き寄せ、自分が見た旗の模様を描いた。

緑の羽根の前に十字に重ねられた剣。

緑のツバサはセフィーロの王・・・つまりフェリオを表す。その前に剣が描かれているのは、王に反意がある事を意味する。これだけならこの旗は反乱軍のモノだ。しかし、ただ一つ違っていたのは羽根・・・・フェリオを示すのは一枚の緑の羽根。

しかし、旗に描かれていたのは二対四翼の羽根。

見覚えがある四翼の羽根にフェリオ達は息をのんだ。セフィーロに置いてそれが示すものは、かつて四翼の羽根を持つ魔神・ウィンダムと契約を結んだ、セフィーロの王妃フウの事だ。

「わた・・・くし?」

もし旗を意味する事を単純に読み取るなら。この旗は、フウに反意を持つ者達が掲げているモノ・・・・彼らはフウを狙ってセフィーロに向かって進んで来ていると言うことだ。

「どうしてフウが?」

朝食どころではなくなった。フェリオ達は彼らへの対処を考えなくてはならない。

「理由は後で考えようよ。もし彼らが国に入ってきたら大変だよ!彼らをどうにかしないと。」

「兵を動かすか?」

騒動を聞きつけたランティスやラファーガも部屋に集まっている。

時間がない。兵士達を動かすなら急がなければならないとフェリオを急かす。結局のところ決定をするのはフェリオではなくクレフなのだが。

「民達を危険にさらすわけにはいかないでしょう・・・よろしいですね陛下?」

一応フェリオに答えを求めるが、フェリオには否とは言えない。言うつもりもない。民を守ることが最も大切なことだから。

「ああ・・・2時間で国境に配備しろ。戦闘になるならなるべく国から離れないと・・・」

それだけ聞くと、ランティスとラファーガは部屋を出て行った。

彼らがセフィーロ軍の隊長だ。急いで兵士達を集め、装備を整え出発しなければならない。

「俺も準備をします。導師クレフ。」

クレフに一礼しフェリオも部屋を出ようとする。

「私も行きますわ。」

ドアに手をかけていたフェリオはその手を離し、フウを振り返った。

「バカか?狙われているのはお前なんだぞ!?」

「だからこそです。私が国の外にいれば国内は安全でしょう?」

「だが・・・。」

「決して足手まといにはなりません。」

フウの性格と実力を理解しているフェリオは、渋々承諾をした。

「俺たちも行きます。」

小狼の発言にフェリオばかりかフウも驚いた様子を見せる。

「俺たちきっと力になれると思います。」

「そうか・・・兵士の人数も少ないし・・・頼む。」

フウは客人を危険にさらすのは好ましくないと思ったが、自分も無理を言ってついていくので、他人のことを言うのはやめておいた。

「2時間後には国境に。」

そう言って、散り散りに部屋を出て行った。

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