Fanfic

Endless Destruction

向日葵

いつからだろう

私が光を追いかけるようになったのは

いつからだろう

私が影に背をむけるようになったのは

いつからだろう

私がこんなに高い所に来たのは

いつからだろう

小さな物に目を向けられなくなったのは

「じゃあ、行って来ます!」

「今日もまた"異世界"ってのに行くのか?」

「うん。夜ご飯までには帰ってくるよ!」

赤い髪のおさげの少女が家から飛び出した。

−東京タワー−

「あ。光さん。」

「光って本当。いつも時間ぴったりに来るよね・・」

青い髪のロングヘアーの少女があきれたように言った。

「まぁまぁ海さん。遅れないだけ良いじゃないですか。」

緑の髪の眼鏡をした少女がにこっと笑った。

「あれ。海ちゃん。今日は何を作ってきたの?」

「アップルパイよ。」

海が得意げに言った。

「あれ。風ちゃんも何か作ってきたの?」

光は風の鞄から出ている美味しそうな香りに気づいた。

「え!え・・えぇ・・まぁ・・クッキーを・・」

風が赤くなって答えた。

「ハハーン。さてはフェリオにでしょ。」

海が風をからかった。

風は図星と言わんばかりに真っ赤になった。

「あ。そろそろまいりましょう・・!」

風は無理矢理2人の手を取った。

3人は手を繋いだ。

その瞬間3人を光が包んだ。

そして3人は東京タワーから消えた。

「あ。光達よ。」

プレセアが現れた光達に気がついた。

セフィーロに光達は居た。

「今日はアップルパイを作ってきたわよ〜。」

「わぁ。それって前持ってきたくれたケーキと何が違うの?」

プレセアが聞いた。

「えっと・・まぁ、食べて貰えばわかるわ。じゃあアスコット手伝ってくれる?」

アスコットが頷いた。

風はフェリオに手作りのクッキーをあげていた。

「じゃあ私イーグルの所へ行って来る!」

光が海達から離れた瞬間。

地面が揺れた。

「じ・・地震!?」

「きゃああ!」

海が地面に座り込んだ。

その横でアスコットが次々に来る落下物を防いでいた。

風はフェリオにしがみついていた。

地面の揺れは次第に大きくなっていった。

「そうだわ!・・防りの風!」

風が叫んだとたん、風がその場にいた全員を包み込んだ。

「ナイスよ!風!」

「久しぶりすぎて、忘れかけてましたわ。」

風が微笑んだ。

しかしまだ揺れは続いていた。

地面が地球時間でいうと約5分揺れた後、あたりがぱっと暗くなった。

「何!?」

海が叫んだ。

「影だ!」

フェリオが叫んだ。

確かに暗い部分は何かの形を写していた。

海は何処かで見た覚えが・・と思い視線を上に向けた。

「・・!?」

一瞬その場にいた全員が固まった。

「何で・・これが・・ここに・・」

海は放心状態になっていた。

影の正体は3つの魔神だった。

「何で・・これはモコナが・・持っていったのに・・」

「海さん!この魔神黒いですわ!」

「え・・」

海は立ち上がった。

その魔神達は色を失われ黒かった。

「本当だ・・じゃあセレス達と違うの?」

「正真正銘レイアース達よ。」

突然何処からか声が聞こえ海はびくっと体を震わせた。

「この声・・光!?」

風がかけた魔法の外に光は居た。

魔神は光にひざまずいた。

「うん。ね。レイアース。」

黒い魔神のうちの1つが光に頬ずりした。

「じゃあ・・あれは・・セレス?」

海の方をじっと見つめる魔神を見て海は言った。

「うん。」

光は頷いた。

魔神もこくりと頷いた。

「海さん!光さんの様子がおかしいですわ!」

「え・・」

海は魔神に気を取られて分からなかったが光は今まで見せたことの無いような不適な笑い顔をしていた。

そして光の瞳も色を失われていた。

「光!どうしたの!?」

光はくすっと笑った。

「どうもしてないよ。」

そしてにっこりと笑った。

「海ちゃん。」

海はまたペタリと床に座り込んだ。

「光・・」

海には今の光がおそろしく思えたのだった。

「光さん。私たちが分かる・・!?」

「分かるよ。風ちゃん。」

光はまたくすくす笑った。

「でも!私は!今の光さんは知らない!」

「人の全てを知ることなんかできないよ。」

「確かに私たちの知らない意外な光さんを見ることは不思議な事ではないですけど!今の光さんは全く別人に私は思うのです!」

「しつこいなぁ。私は光だって。」

光は少し顔を歪ませた。

風もびくっとした。

海はショックで動けなかった。

他の人達もその場から動けなかった。

それほど今の光には威圧感があった。

「ただ前と違うことは自分の中である結論が出ただけ。」

「け・・結論?」

風が絞り出すように言った。

「うん。」

そして光は透き通るように言った。

「このセフィーロを壊すと・・」

光は悲しそうな目をして言った。

一瞬その場の空気が止まった。

「おい、光。どういう事だ。そりゃ。」

フェリオが最初に口を開いた。

「そうやで!あんたらが必死で守ってきた此処を壊すってどういう事や!?」

カルディナが叫んだ。

「私は気づいたのよ。ここが・・」

「どうした!何があった!?」

光が何かを言い掛けた瞬間、騒ぎを聞きつけてクレフが現れた。

「クレフ!」

クレフは当たりを見渡した。

そこには黒い魔神。

震えている海と風。

剣幕な表情をしたフェリオ達。

そして瞳の色が変わった光がいた。

「光・・もしやお前・・」

クレフが光を睨んだ。

光はうつむいた。

「ごめんね。クレフ・・」

光は誰にも聞こえないくらい小さい声で言った。

「炎の矢!」

突然光が叫んだ。

突如炎の矢がクレフ達に襲いかかった。

しかしまだかろうじて風の防りの風が残っていた為、クレフ達にダメージは無かった。

しかしその場に光と魔神の姿は無かった。

「光!」

プレセアが叫んだ瞬間クレフ達の影が動いた。

そして影から次々と人型をした何かが飛び出した。

瞬間クレフ達の脳裏に何処からか光の声が響いた。

「戦争が始まる・・」

この時ランティスとイーグルはクレフだけに告げて密かにオートザムに帰っていた。

この偶然がクレフ達を窮地に落とすことを彼らは知らなかった。

光の声が頭から離れると、影から現れた者達がユラリと蠢(うごめ)いた。

そして、海達に襲いかかってきた。

手には何処から現れたのか黒い武器を持って。

ある者は剣を。

ある者は弓を。

ある者は杖を。

獣みたいなものを携えている者もいた。

そして影は次第に形を成していった。

「え・・私・・?」

プリシアが目を見開いた。

驚くことにその影は海達の形をしていた。

そして影達は自分と同じ形の人物の前に立ち、間合いを取った。

一時しんとあたりは静まりかえった。

その後まるで合図があったかのように一斉に相互が飛びかかった。

それぞれの戦い方で。

互角に。

しかし海と風は未だに動けなかった。

しかし影は躊躇なく飛びかかった。

アスコットとフェリオが一斉に守ろうと飛び込んだが自分の影に邪魔をされた。

「海!」

「風!」

同時に叫んだがその声は虚しく二人を動かすことは出来なかった。

そして剣が振り下ろされ矢が襲いかかった。

鈍い音がした。

あたりに緊張が流れた。

海と風の前に人影があった。

「光・・」

影の正体は光だった。

光は素手で剣を止め、矢を掴んでいた。

手からはタラリと赤い液体がしたたり落ちていた。

「海ちゃん・・風ちゃん・・」

光が優しく呼びかけると二人の目からすっと色が消えた。

「一緒に行こう・・」

光は二人に手を差し出した。

海と風は光にひざまずき、そっと手に口を付けた。

「おおせのままに・・」

そう言って光達は、影もろとも消え去った。

光達が去った後、残されたクレフ達は呆然としてしゃがみ込んだ。

「・・風達は何処へ行ったんだ?」

フィリオが呟いた。

「分からないよ・・でも・・光は・・此処を壊すって・・」

「・・もぉ何が何だか・・」

次々とため息と共に落胆の声が聞こえた。

「・・今は・・光の身に何かあって・・アレがホントの光でないことを信じるしかないだろう。・・少なくとも私は信じている。」

クレフが立ち上がった。

「そ・・そうだよな!!」

「あれは光じゃない!」

次々と安堵のような言葉が交わされていく中クレフは俯いた。

これから一体、何が起きるんだ・・

その瞬間またしても地面が唸り声をあげた。

「・・今度は何だ!?」

「駄目だ!!みんな逃げろ!!」

「クレフ?」

「崩れる!―――――――――――!」

大きな地鳴りをあげて床が割れ、柱が崩れ、天上が落ちていく。

「・・みんな・・大丈夫か?」

フィリオが辺りを見渡した。城の一部が崩れたらしい。

「・・生き埋めになったかと思ったよ・・」

次々と人影が起き出した。

「・・クレフ!!」

プレセアが金切り声をあげた。

クレフだけが汗だくで倒れていたのだ。

あの瞬間クレフはみんなを魔法で守ったのだ。

「ここは精神力で出来ている・・光の精神が崩れた今、ここも崩れやすい・・ここから早く出・・う゛っ!」

「クレフ!!」

「大丈夫・・気を失っただけや・・」

「それよりここから!!早く・・」

そうこうしているうちにまた地鳴りが始まった。

「光・・」

何とか城から脱出したフィリオ達は外の光景を見て驚愕した。

「ぁ・・またセフィーロが・・」

――深海のようだ――

「光!?」

「お久しぶり!ランティス。」

光がいつものように笑ってくる。

此処はオートザム。

「なんで・・」

「此処がオートザムだよね!」

「あ・・あぁ・・」

「へぇ・・凄いなぁ・・」

光は怪しげな笑い声を発した。

――汚くて・・壊れやすいから――

その瞬間辺りがパッと暗くなった。

突如イーグルが現れた。

「ランティス!オートザム全域の主電源が何者かに落とされた!!今サブに・・光!?」

「お久しぶり・・イーグル・・」

イーグルはいつもと違う光に恐れ1歩下がった。

「電源だっけ?コワシタのは私だよ?イーグル・・」

「な・・今住民大混乱だぞ!?これの損害は計り知れない!光!なんで!?」

機械が支配している国オートザム。

一度全ての電源を落とすと大変なことになるのだ。

「ほら・・ランティスもうここは・・壊れたよ?」

もろいね・・と言って光は消えた。

「イーグル!どうやらこの混乱の原因はセフィーロらしいという噂が広がってるぞ!!」

ジェオが飛び込んできた。

「な・・それで・・住民は?」

「セフィーロを・・侵略しようって騒いでる・・」

「最初からセフィーロに侵攻すれば良かったんだ!!」

「これはセフィーロの柱がやったらしいぞ!オートザムを壊す気だったそうだ!!」

住民の怒りはもう止められなかった。

「ねぇ・・レイアース・・次は何処が良い?ファーレン?チゼータ?それとも・・」

光は彼方の方をボンヤリと眺めていた。

「地球かな?」

クスクスという笑い声の下では驚愕と怒濤の声が響いていた。

「私たち・・魔法騎士は居なかった方がよかったんだ・・」

そして私たちは全てを壊して消える。

大きくなりすぎた私達は消える。

全てを平和にすることは出来ないのだから・・

全ての人を幸せにすることは出来ないのだから・・

全ての人がこの世の全てを愛せはしない・・

私たちは侵略しようとしていたのだから・・

人の心を・・

たった1人の心の崩れによって世界は崩れた。

この国も破滅への道を歩んでいたのだ。

〜第3章・完〜

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