Fanfic

Endless Destruction

睡蓮

純潔 清純 螺旋 潔白

純白の花

水面に浮く純粋

しかし白は染まっていく

どの色にも変わっていく

「さくら・・」

庭先で戯れていた少女。名はさくら。

「あ、小狼。おはよう。・・どうしたの?」

少女に問いかける少年。名は小狼。

「お前・・また・・」

「・・?」

さくらはきょとんとして少年を見つめた。

「いや・・何でもない・・俺、ちょっと・・」

「あ!・・小狼!」

さくらを振り払い小狼は足早に立ち去っていった。

さくらは立ち去っていく小狼を目で見送った。

小狼がもう見えないくらい遠くに行ってしまった頃。

それを見計らったようにさくらの前に人影が現れ、跪いた。

「桜様。」

さくらは冷たい目で現れた人影を見下ろした。

「・・何?何か用?」

「これを・・」

その忍風の服装をした女性はさくらに黒い封筒を差し出した。

「・・昨日の今日でまた・・」

さくらは女性から封筒を受け取った。

「・・・何はともあれ、ありがとう。さがって良いわよ。」

「はっ!」

影はさくらから飛び退いた。

さくらは封筒を抱き小狼が立ち去った方角を見つめた。

「どうしよう・・小狼・・」

−・・助けて・・−

『午前1時、湖畔』

さくらはその夜、手紙に書かれた時刻ぴったりに湖に現れた。

さくらは正服をまとっていた。

「出よ、ケルベロス。」

一瞬、橙色の光があたりを包み込んだ。

光の中には1匹の獣の姿があった。

「こんばんは。ケロちゃん。」

にっこりとその獣に向かって微笑んださくらには冷たさをも感じられた。

「さくら・・お前・・また・・」

「・・うん。」

そしてさくらは湖畔へと足を進めた。

「黒封筒はそういうものだから・・」

「さくら・・どうしたんや・・ほんまに・・」

「どうもしてないよ。ケロちゃん。私、元気だよ。」

「そうやのぉて。」

いきなりさくらはしっと制止をかけた。

ケルベロスはピタリと止まった。

さくらの視線の先には人影が居た。

さくらと同じくらいの少女だった。

そして彼女は何かを探していた。

さくらは彼女の姿を確認し、草陰から身を乗り出した。

「おい・・さくら!」

獣の制止も無視し、少女に近づいた。

「あ、さくらちゃん!」

「こんばんは。」

さくらはにっこり笑った。

少女はさくらの知り合いだった。

「どうしたの?こんな時間に。」

「ちょとね。あなたは?」

「えっと・・その・・ん・・」

「?」

「ごめん・・言えない・・企業秘密なんだ・・あ。さくらちゃん、もしかして合い言葉とか知ってる?」

さくらは冷ややかな笑みを浮かべた。

「標的(ターゲット)確認。任務に入る。」

「さ・・さくらちゃん!?」

さくらの綺麗な瞳は深い色に変わっていた。

するりとさくらは腰から長刀を出した。

そして少女に向かって振り下ろした。

「痛っ!」

「逃げないで。ひとおもいに殺してあげるから。」

さくらは冷たく言い放った。

少女の肩からはとろりと真紅の液体が流れ出していた。

「逃げたほうがつらいよ。」

すぅっとさくらは木の上に飛び移った。

さくらの後ろには月が光り輝いていた。

満月だった。

月と正服をまとったさくらは恐ろしく似合っていた。

不意にさくらは少女に向かって刀を突きつけ飛び降りた。

一筋の閃光と共に血飛沫があがり少女の悲鳴とともに飛び跳ねる。

「やめて・・さ・・くらちゃ・・ん・・」

少女は消え入りそうな声で懇願した。

少女にはもう左腕がなかった。

「抵抗しないで。苦しいだけだよ。」

そしてさくらは後ろに飛び、標的との間合いを整えた。

さくらの体はもう真正面から少女の血をかぶっていた。

少女には今のさくらは殺人鬼にしか見えなかった。

「・・っ!今のさくらちゃんはさくらちゃんじゃない!」

少女は叫んだ。

さくらは一時、刀を少しおろした。

「だから!・・偽物のあなたは私が討つ!」

少女はもう自分が何を行っているのかも分からなかった。

ただ、もう自分が生きるためには目の前にいる人を殺さなければ、と思ったのだ。

少女は懐から銃を取り出した。

そして引き金を引いた。

「!!」

音とともに鉄の塊が放出され、さくらは反射的に右に飛んだ。

後ろの木に弾丸が刺さり煙を上げている。

次の瞬間、少女はマシンガンを取り出しさくらに向かって引き金を引いた。

軽快な音とともに弾丸の雨がさくらに向かって降り注いだ。

さくらは何とかよけ、よけられない弾は刀で弾いた。

しかし第2弾はそうはいかなかった。

さくらはいつのまにか湖畔に追いつめられていたのだ。

「終わりね。」

少女はニヤリとすると引き金を引いた。

「さくらっ!」

瞬間ケルベロスがさくらの服を加えて空に飛びあがった。

ぱららと弾は虚空を飛んでいった。

「ありがと。ケロちゃん。」

「いや。わいはかまわんけど・・」

さくらが降ろしてと合図したのでケルベロスは言葉を濁した。

「本気になったみたいね。」

さくらはニヤリと笑った。

そしてさくらは刀を逆手に持った。

「何を・・」

さくらは一気に少女へと突き進んだ。

少女は無意識に後ずさりした。

「無駄よ。」

さくらは柄の先に左手を添え、おもいっきり少女に向かって振り上げた。

「やっ!さくらちゃん・・やめて!」

逃げ切れないことを悟り、少女は懇願した。

「やだっ!やめて・・!」

「遅い。」

ザッと鈍い音がした。

さくらに赤い雨が降り注いだ。

少女は湖上の睡蓮の上に重く倒れた。

少女の灯火は消えた。

そしてまた深い所にさくらは落ちていった。

さくらはその後しばらくもう動かない少女を見つめていた。

湖上の睡蓮は赤く染まっていた。

「さくら・・・」

ケルベロスがさくらに話しかけた。

「うん・・帰ろ・・」

「そうやないで。お前・・やっぱ・・」

「帰ろ・・・!」

さくらの目は潤んでいた。

ケルベロスはさくらの前に進み出て、さくらに頬ずりをした。

瞬間さくらはペタンと座り込みケルベロスを抱きしめた。

「ケロちゃん・・ケロちゃん・・!」

さくらの目には涙があふれていた。

「なんでこんな事しなきゃいけないの?人殺しなんて嫌だよ・・」

「・・わい、さくらが好きで人殺しやってるとは思ってへんで。」

「でもあの私は違うの!ねぇ・・私の中には誰が居るの!?・・怖いようケロちゃん・・」

さくらはもう無我夢中で叫んだ。

「どんどん私が居なくなるんだよぅ・・消えていくんだよぅ・・」

「さくら・・」

「どうすればいいの!?どうすれば私は戻ってくるの?」

さくらはついに泣き出した。

「・・しゃ・・ん・・・小狼・・!」

小僧ならさくらをどうにか出来るかもしれない・・

ふとケルベロスはそう思った。

もうこの国ではカードキャプターとしての平和を願う少女はいなかった。

この国も破滅への道を歩んでいたのだ。

〜第1章・完〜

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