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Desire

その頃、雪兎は家族と一緒にいた。

「で、どうなんだ?」

徐(おもむろ)に兄・柳人(りゅうと)が言う。

「どうって?」

思わず雪兎は聞き返す。

「だから、お前は家を継がずに軍隊に入っただろう? それについてだよ。後悔してるのかしてないのか・・・」

「・・・お父さん達の期待には応えられなかったけど・・・、後悔はしてない」

「そうか、ならいいんだ。お前が後悔していないのなら・・・」

それは雪兎と柳人の父・蓮(れん)も同じ思いだった。

「でも一体何故今回戻ってきたの?」

母・あやめが訊く。

「それは・・・」

両親も兄も桃矢の一件は知っている。

「桃矢が・・・、さくらちゃんに・・・」

その言葉を聞いた3人はある事を思い出す。

「そうか。もう〝その時〟が来たんだな・・・」

直接口には出さなかったものの、3人は分かっていた。

桃矢はどんなに憎まれようとも「真実」を話すのだと。

そしてそれがどんなに残酷であるのかも分かっていた。

自分の家族がある人の、生きていく上で必要な記憶だけを残し他は総て消去した、と聞けば気が気でなくなるのは当然だろう。

「桃矢達の事が心配だ・・・。さくらちゃんが受け止められればいいんだけど・・・」

その言葉は雪兎の、心からの願いだった。

<続く>

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