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Desire

そして忘れたくても忘れられない事件・・・。

母親である撫子の一件である。

あの事件は今でも鮮明(せんめい)に覚えている。

そして、桃矢が下した判断・・・。

ああでもしないと撫子は、殺されてしまう。

母である撫子と、妹のさくらを助ける為に軍隊に入隊したのに、まさか自分にとって大切な人の記憶を消す事になるとは思ってもみなかった。

もし連れ戻してしまったら、撫子が殺されるばかりではない。

桃矢の命も狙われるハメになる。

連れ戻した者への処分・・・。それは、「相棒の手によって殺される」のだ。

つまり雪兎が桃矢の命を・・・。

それは出来なかった。大切な相棒を失うわけにはいかなかった。

・・・己を守るため?

そうかも知れない。

それは自己満足では? と思った時もある。

しかし、これ以上何も失いたくはなかった。

もし、撫子を連れ戻していたらさくらは「家族」と呼べる人を失う・・・永遠に。

せめてさくらだけは守ってやりたい・・・。そんな思いがいつしか桃矢と雪兎の間に生まれていた。

そして、その思いは羽柴達も同じだった。

何故なら、撫子を担当したのが彼等だったからである。

頑(かたく)なに、何も言わなかった。・・・何を訊(き)いても。

まるで誰かを庇(かば)うかのように。

それは一体誰だったのか、今となってはもうわからないが。

せめて、新しい人生を切り開いている事を願うばかりだった。

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