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Desire

翌朝、ポチは朝早くから朝食の準備をしていた。

それもそのはず。いきなりやって来た客だ。それなのに泊めてもらったのだから、最低限の事はしようと思っていた。

食事を全員分作るのは流石のポチでも滅入(めい)ったようである。

(・・・何でこの家はこんなに人が多いんだ)

黙々(もくもく)と作業をしている時、知世がやって来た。

「おはようございます」

「・・・おはようございます。どうしたんですか? 今日はゆっくり寛(くつろ)ぐはずでは?」

「ええ。でも、私に出来る事があれば何でも言ってくださいね」

「有難うございます」

朝食の準備も整い、全員を呼ぶ事に。

「うわあー、美味(おい)しそう!」

見るからに美味しそうな料理がテーブルの上にズラーっと並んでいる。

「・・・色気より食い気だもんな、さくら」

「お兄ちゃんなんて知らない!」

「まあ、それより食べましょう」

蘭の一言で全員手を伸ばしながら食べる。

「美味しい!」

そう言って誰もが笑顔になる。

ポチはこういう顔をずっと見ていたいと思った。

出来るなら、あんな残酷な事を・・・。

さくらの顔を見ながらそう思った。

(木之本さくら・・・。なら、あの事件は・・・)

食事を食べながら誰もが幸せを感じていた。

「いやー、このピラフ美味(うま)いなあ。おかわり!」

そう言って羽柴は皿を差し出す。

ポチは無言で立ち上がり、おかわりを盛る。

「どうぞ」

「おお。嬉しいなあ」

羽柴は感動のあまり、思わず声に出す。

そんな羽柴の顔を見て、昨夜の話などまるでなかったかのような・・・。

そこで明かされた真実など、まるで忘れているかのような顔だ。

「どうした?」

続と葵が同時にポチに声をかける。

「・・・いえ、何でもありません」

「そうか」

二人はそれだけ言うと、また食事に手を伸ばした。

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