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Desire

話の続きは後日改めて、という形になった。

それもそのはずである。

まずは、誘拐しようとした黒ずくめの人物の徹底的(てっていてき)に調べる必要があったからだ。

用意してくれた部屋に3人は居た。

「なあ・・・。さっきの〝木之本〟って・・・」

羽柴が口を開く。

「ええ・・・5年前、〝ATLAS〟で記憶を消去された木之本撫子の娘です」

続はタバコをくゆらしながら言う。

「やはりそうでしたか・・・」

佐々木が確信を持って言う。

「あの一件は誰にも言っていない・・・。彼女はあれで幸せだったんだろうか?」

複雑そうな顔をして羽柴は言う。

「何が幸せかなんてその人本人でないと分かりませんからね。人から見て不幸せにみえても本人にとっては幸せなのかも知れませんし、その逆もあるでしょう」

「幸せに見えても、実は不幸せってか・・・?」

「幸せとは、その人本人が決める事ですからね」

「確か・・・記憶を消去したのは・・・」

佐々木が言う。

「ええ・・・。あの無愛想な方でしょう。恐らく木之本撫子の息子・・・。〝ATLAS〟で一番成績の良かった木之本桃矢でしょう」

「・・・どんな思いだったんだろうな? 桃矢くんは・・・」

「さあ・・・。ただ、彼は父親を早くに亡くしていますから・・・、想像で語るには難しいでしょうね」

「さくらちゃんの様子を見ていると、母親の事については何も知らないみたいだな」

「それも一つの愛情なのかどうかは、彼自身に訊かない事には分かりませんね・・・」

「ああ・・・そうだな」

もうすぐ夜が明けようとしていた。

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