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Desire

「・・・で? あんた達、一体どこの誰なんだよ」

さくらがお風呂に入っている間だけでも、何か知っておきたいという気持ちはあった。しかし、どこの誰か分からない人間を入れる事はあまりない。

「とーや! 失礼だよ、幾らなんでも」

雪兎が宥(なだ)める様に言う。

「・・・それに何故さくらの名前を知っていた?」

先程より鋭(するど)く睨(にら)みつける。まるで、手負(てお)いの獣(けもの)のようだ。

「だからさ、そんなに睨まないでって。俺は羽柴。で、俺の隣にいるのがポチ。そのポチの隣にいるのが続くんだ」

「続・・・?」

葵はどこかで聞いた事のある名前だと思った。

「まさか・・・妹之山財閥・・・?」

その呟きは確信に変わった。

「そうでーす。でもってポチの御主人様でーす♪」

「・・・・・・まさか」

信じられない、と思った。もし、彼らが自分達のことを知ってここに来たと言うなら・・・。

「ここに来た目的は?」

あやめが尋ねる。

「やだなあ。だから、誘拐未遂に遭ったさくらちゃんを無事送る為に来ただけですよ」

「その誘拐未遂について知りたいんだが・・・・」

「俺達は詳しい事は知らない。ただ、俺達があの〝ピッフル・プリンセス〟に入ろうと思ったら、全身黒ずくめの怖いお兄さんがいたのさ。で、嫌がるさくらちゃんを無理矢理車に乗り込ませようとした・・・」

「まあ、この2人がその怖いお兄さんをやっつけましたけど」

穏やかな笑顔で続はそう言う。

「さくらちゃんの名前は俺が聞いたのさ。あんな事があったからな。それに家に送るなら訊くのは当然だろう?」

「・・・確かに」

そう言ったのは雅(みやび)だった。

「家に送ったりするのには、訊いてもおかしくないわね・・・。でも、今の話を聞いてるとある疑問が浮かんでくるの・・・」

「何だい?」

「あなた方は最初から知っていて、ここへ来たの?」

「最初から、と言うのは?」

佐々木が口を開く。

「ここでお花見があったことも、あのコンビニにさくらちゃんが行った事も・・・。どこかで見ていたんじゃないの?」

「それはありませんよ」

そう言って続は笑った。

「ただ、その全身黒ずくめの人が何者かであるかを調べなくてはなりませんね」

さくらを誘拐しようとした人物・・・・。それが何者なのか。

5年前の事件と何か関連性があるのか・・・。

それについて言及(げんきゅう)しようとした時、さくらがお風呂からあがってきた。

「ううう・・・知世ちゃ〜ん・・・」

「何ですか? さくらちゃん」

「やっぱりこのネグリジェ、恥ずかしいよう・・・」

「まあ、可愛いですわー! 徹夜した甲斐がありますわー!」

「どれどれ、さくらちゃん。私にも見せて」

園美はそう言ってさくらのもとへ駆け寄る。

「まあ! よく似合ってるわー!」

「そそそ・・・そうですか?」

赤面しながらさくらは訊(き)く。

「よく似合ってるわ。・・・まるで撫子がいるみたいよ」

「本当によくお似合いですわ」

撫子が好みそうなネグリジェを着たさくらにそう言う。

「この子ったら・・・お花見前日にもなって何をやっているかと思ったら・・・。最初からこれを作ってるといえば良かったのに・・・」

「でも、お母様はお仕事で忙しいと思いましたので・・・」

園美と知世は、やはり似たもの親子であると雪兎は思った。

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