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Desire

歩いて1分もかからない距離というだけあってすぐに着いた。

車から降りたさくらは丁寧(ていねい)にお辞儀(じぎ)をし、礼を言う。

「本当にどうも有り難うございました」

「いやいや。・・・それより」

「?」

「あのおぢさんは知り合いかい?」

ふるふるっと横に首を振る。

「そうか。・・・これからはちゃんと気を付けるんだぞ」

「はい」

念には念を、という事でさくらが家に入るまで付き添ってもらう事になった。

・・・先程のような怖い思いをさせない為に。

いわば、3人はガードマン的な役割をする事となった。

さくらは恐る恐るインターホンを押す。

《はい》

聞き覚えのある声にさくらは恐縮する。

《あの・・・》

ガチャリ、とドアが開いた。

「ったく、お前は一体何やってたんだ!」

応対したのは他の誰でもない桃矢であった。

「・・・うう・・・。ごめんなさい」

「まあまあ、そんなに怒らないで♪」

「・・・どちら様ですか?」

桃矢は鋭く睨みながら訊く。

「やだなあ。そんな怖い顔しないでよ。さくらちゃん、誘拐未遂(ゆうかいみすい)に遭(あ)ったんだ」

「誘拐!?」

思わず素(す)っ頓狂(とんきょう)な声を出す。

「ああ。俺とこの犬が助けたがな」

「・・・有難うございます」

とりあえず、礼は言っておこう・・・桃矢はそう思った。

「まあ、色々話さなきゃいけないだろうが・・・今日はやめておこう。時間も時間だし」

確かに、羽柴の言う事はもっともである。しかし、妹が誘拐未遂に遭ったのに何の話も聞かないままいられる訳がなかった。

「・・・どうぞ」

相変わらず無愛想(ぶあいそう)に桃矢は応じる。

「そうか・・・続くん、どうする?」

「僕は別に構いませんよ」

さくらが帰ってきた、とだけ言うとわらわらとあちらこちらから人が押し寄せてきた。

(すっげえ家だなあ・・・ここは)

「さくらちゃん! 大丈夫!?」

そう言ったのは園美であった。

「あ・・・は、はい」

「心配したのよ。私も知世も月城君も周ちゃんだって。勿論、桃矢君もね」

園美はそう言うとやや怒ったかのような口調だった。

「・・・ごめんなさい・・・あと、有難うございます」

それを聞いた園美は我が子のようにさくらを抱きしめた。

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