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Desire

すると桃矢と雪兎のところにある人物が現れた。

「やあ、久し振り」

「・・・凌(りょう)さん」

桃矢が凌さんと呼ぶのは、母・撫子の従姉妹の夫であった。

「いい加減、伯父さんと言ってくれ」

確かに戸籍上はそうなるのだが・・・。伯父さんと呼ぶにはまだ若い気がして、名前で呼んでいるのだ。

「・・・さくら達が色々お世話になっています」

「いやいや、いいんだよ。そんな事気にしなくていい。困った時はお互い様だ」

そう言いながら桃矢と雪兎にお酒を注ぐ。

「まあ、今日くらい何も考えないで呑みなさい」

初芝凌(はつしば・りょう)――――桃矢達のいた軍隊の先輩でもあり、桃矢の伯父である。勿論、撫子の一件も知っている。

もし、撫子を連れ戻したら殺されてしまう事も、そして連れ戻した者への処分、その他を知っていた。

ある意味、何でも話せる相手である。

だからこそ逆に話せない事もある・・・・。

「ところで」

不意に凌が質問をする。

「?」

「あの桜の木にいる子に見覚えはある? ずっとこっち見てるんだけど」

「・・・」

「あ。確かあの子、さくらちゃんの・・・」

「・・・小僧」

桃矢は立ち上がり、小狼のもとへと歩み寄る。

「・・・何しに来た」

怒りながら桃矢は問う。

「・・・・・・」

睨(にら)み合いが続く。

そんな状態がどれ位続いただろうか。背後に人の気配を感じた。

「全く、桃矢ってばいっつもそうなんだから」

「・・・雅(みやび)」

「知り合い?」

雅が声をかけると、桃矢はむすっとしたまま応じる。

「さくらに何するかわかんねえからな」

「何もしない!」

「信じられるか。・・・小僧」

「お兄ちゃん!」

その声で我に返る。

「もう、小狼君は私が呼んだの! お兄ちゃんってば」

「お兄様はそれだけさくらちゃんの事が心配なんですわ」

「わかってるけど・・・」

そんな言葉を交わしながら、さくら・知世・小狼は自分達の席へと向かって行った。

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