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Desire

花見の途中、さくらがある疑問を投げ掛けた。

「ねえ、お母さんは?」

その発言に桃矢の顔が強張(こわば)ったのを殆(ほとん)どの出席者は気付いていた。

「…ああ、仕事」

5年前――――全てはあの事件がはじまりだった。

しかし、まだ幼かったさくらに真実を告げる事は出来なかったので、仕事が忙しいと言い、昔から付き合いのある初芝家へ預かってもらっているのだ。

「なあんだ。…でも、お母さん仕事ならしょうがないよね。お母さんの分まで楽しんでいいでしょ?」

「…ああ」

やはり、年の差が14もあるとどう接したらいいのか解らないようだ。

確かに妹なのだが、こんなにも年が離れていると娘のような感じさえする。その為、会話はどことなくぎこちないものだった。

隣にいた雪兎は桃矢に小さく耳打ちをする。

「さくらちゃん…まだ知らないんだ」

「…ああ。今はまだ…。そのうちにとは…」

「今はお花見を楽しむ事が先決だよね」

桃矢はコクリ、と小さく頷いた。

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