Fanfic

タイセツナヒト

小狼が千歳達に桜が連れ去られたこと、「クロウ遺跡」に1人で行くということを話す頃、桜はまだ深い眠りについていた。

「ここ・・・・どこ・・・?」

そこは真っ暗闇で何も見えない。

遠くの方でまた何かの映像があった。

「小狼君とエリオル君・・・これ前見たやつと同じ・・・」

そう、桜は前にもこの夢を見たことがあるのだ。だが違うところを言ってみれば戦っている相手がエリオルだということ。前の夢では正体が分からなかったが、今回ははっきりと見える。桜がふと真っ直ぐ前を見るとそこには袴を着た知世がいた。

「滝で待ってます・・・」

「えっ・・・」

知世は謎のメッセージを残して消えた。

桜は目を覚ました。

「ここ・・・・(窓の外を見る)クロウ遺跡がある!!」

桜は気がついたときには違う部屋にいた。桜は部屋の外にでた。人の気配がまったくなく、扉も無防備に開いていた。桜は玄関に着いて外に出た。そして桜は何か音がすると思った。

「この音・・・水?あっちから・・・」

桜は音が聞こえる方向に足を進めた。桜がいた家のところから5分もかからないところに音の正体があった。

「滝・・・・」

滝が流れていた。滝の近くに行ってみた。ふと下を見ると驚くべきものがあった。

「知世ちゃん!!」

なんとその滝には知世がいたのだ。躯が沈められていた。桜は知世に触った。

気がついたときにはまた真っ暗闇の世界にいた。

「ここは・・・?」

「ここは・・・桜ちゃんの夢の中ですわ・・・」

後ろから声が聞こえたので向くと、袴姿の知世がいた。

「知世・・・ちゃん・・・」

「お久しぶりですわ」

「知世ちゃん!!」

と走って知世に抱きつこうとしたが触れられなかった。

「桜ちゃんでも触れませんわ・・・もうこの姿では誰にも会うことはできないと思ってました。でもまだこの世に未練があるのか、こうして桜ちゃんの夢の中に入れました」

「本当に死んじゃったんだね・・・」

「でも・・・私は幸せでした。愛する人のために死んでいくということが唯一の幸せですから・・・小狼様とエリオルのことは聞いております。小狼様から話を聞かれたのですね・・・」

「・・・・うん・・・」

2人は沈黙になった。この沈黙を破ったのは知世だった。

「桜ちゃん聞いてください。あなたにどうしても話さなければならないことがあるんです」

「・・・何?」

「エリオルが小狼様をここに呼んで私の敵を討つということを考えているのはご存知ですね」

「うん・・・」

「もう一つ目的があるんです。小狼様に『クロウ遺跡』の封印を解くことをさせるのですわ」

「どうして何のために・・・それなら小狼君にやらせることでもないのに・・・」

「エリオルにはできませんわ。力があまりにもバランスが悪いので、力のバランスがいい小狼様に封印を解かせようと考えているのですわ」

「そんな・・・」

「でも、小狼様でも解けませんわ」

「どうして?」

「私が最後に教えた封印を解く方法は嘘・・・本当の封印を解く方法は桜ちゃんが鍵となるのですわ」

「私が?なんで?」

「私が昔桜ちゃんに『精霊の鏡』をあげたのは知ってますよね・・・。あの鏡が封印を解く鍵なのです」

「でも、知世ちゃんが3年前に封印を解いたって聞いたよ!!」

「あれは第一の封印が解かれただけ・・・私はこっそりとその第一の封印を解いただけ・・・。桜ちゃんが持ってる鏡と私が持ってた鏡・・・桜ちゃんは覚えてますよね?」

「うん。たしか・・・『魔法の鏡』だっけ?」

「そうです・・・。この秘術の鏡を桜ちゃんにもたせるのはあまりにも危険すぎるので私がずっと持ってました。それで3年前この鏡を持って封印を解いたんです」

「でも・・・エリオル君は封印を解いて何の目的があるの?」

「あの門の奥にクロウ自身が封印したと聞く『賢者の石』があるのです。それを手に入れるためかと・・・」

「賢者の石・・・それを持つ者は願いが叶えられるという伝説の?」

「そうです。あれで私を甦らせようとしてるんです。賢者の石を自分の心臓代わりにして、長く生き不老を得たと聞いています。ですが、賢者の石がいくら心臓の代わりになるといっても、不死を得ることはできません。」

「・・・・・・・・・」

「桜ちゃん・・・お願いがあるのですが・・・」

「なあに?」

桜は知世の頼みを聞いた。

「大丈夫なの?」

「保障しますわ」

「うん・・・わかった・・・」

桜は知世の頼みを受け入れた。

桜が気がついたとき滝の前で倒れていた。桜が別荘らしき家に戻った。桜はリビングの方に行った。そこに椅子に座ってるエリオルがいた。

「エリオル君・・・・1つ聞いていい?」

「なんですか?」

「なんで私をすぐ殺さなかったの?」

「小狼は今迷ってます・・・戦うことの迷いを・・・。そして迷いがないときに戦って、あなたをそのときに殺すことで小狼の心の痛手が大きくなることでしょう」

「つまり・・・・どっちにしろ私も小狼君も殺すことに決まってるの?」

「ええ」

とエリオルは笑顔になりながら話した。

桜はもう慣れていた。だが慣れいてたとしても背中に悪寒が走る笑顔は変わらなかった。

「僕も聞いていいですか?」

「えっ・・・あっうん」

「どうしてさっき部屋にいなかったんですか?」

突然冷たい顔つきに変わって聞いてきた。

「あー目覚ました時にした下りたけど誰もいなかったからとりあえず外に行って散歩してたの」

「あそこには行ったんですか?」

「えっあそこって?」

「行ってないならいいです」

エリオルが元の笑顔に戻った。エリオルが言う「あそこ」とはもちろん滝のことだった。桜はそれを知っててあえて嘘ついたのだ。知世にエリオルには黙っててほしいといわれたからだ。

「じゃっ部屋に戻ってる」

エリオルは無言のままだった。

(エリオル君は確実に小狼君を殺そうと思っている・・・私が持ってる「精霊の鏡」が第二の鍵だということを知らぬまま・・・)

桜は部屋に戻る間そんなことを考えていた。

−−−そして−−−

決戦の日が来た。小狼はあの3年前に戦った『クロウ遺跡』の前に来た。小狼の目は怒りの眼だった。

洞窟の前にはエリオルがいた。だがそこに桜の姿はなかった。

「桜はどうした・・・?」

「安全なところで眠ってます。心配しなくても開放してあげますよ。僕に勝てたらの話ですがね」

小狼は舌打ちをした。

「今回は剣でなく魔法で勝負をしましょう」

「!!」

「そのほうが本気になりやすいでしょう」

「ああ・・・・」

と2人は手をかざした。そこから光が現れ、銃のように連打してきたのだ。2人とも互角のように見えたが小狼が時々エリオルの攻撃を受けてしまっているのだ。エリオルは結界をはっているため小狼の攻撃は受けなかった。だが小狼が簡単にくたばらなかった。小狼は必死に魔法で攻撃をした。

「炎竜(えんりゅう)よ わが声を聞き、我の助けとなれ」

炎の竜が現れた。だが、それもエリオルの結界で消えた。

「この手の魔法は僕には効きませんよ。まだ少し迷いがあるようですね・・・」

小狼が再び舌打ちをした。

「こんなことをしても・・・知世は喜ばないぞ・・・。」

「喜びますよ。そんなことをこれから死ぬあなたが言うことではありません」

エリオルが倒れた小狼を強く蹴った。小狼は血を吐いた。

「そうそう、あなたが死ぬ前にやってもらわないといけないことがあるんです」

「門を・・・封印を解くことだろ・・・」

「分かってるなら話が早い。解いてもらいましょうか」

「・・・・」

「おやめなさい!!エリオル」

その声の主は2人とも聞き覚えがあった。

なんとそれは知世だった!!

それは幻でも亡霊でもなかった。

正真正銘の生きた知世だった。そして隣には桜がいた。

「まさか・・・滝にいた姉さんの器を・・・?」

「ええ。桜ちゃんに頼んで魂を器に入れる手伝いをしてもらいました」

《回想》

「桜ちゃん・・・お願いがあるのですが・・・」

「なあに?」

「8日後の決戦の日・・・私をあの滝にある躯に入れてください」

「えっ!!私そんなことやったことないよ・・・」

「私だけの力じゃ入れないので・・・大丈夫です。私の言うことを詠唱してくださればそれでいいのですわ」

「でも・・・・大丈夫なの?」

「保障しますわ」

「うん・・・わかった・・・・」

約束どおりの今日。桜は寝たふりをしてエリオルがいないことを見計らって、外に出た。滝の前にはもう幽霊の知世がいた。

「では、詠唱してください」

「うん!!」

「別れし、魂と躯よ 我が願いにより再び1つとなれ」

桜はこの言葉を詠唱した。知世は光の玉となり躯に入った。すると滝の中にいた知世が目を覚ました。

《回想終了》

この話を聞いたとき沈黙となった。

それを破ったのは甦った知世だった。

「魂だけで体を動かすのは時間の問題・・・・早く封印を解かなければ・・・桜ちゃんあの鏡を」

「うん」

桜は持っていた鏡を知世に渡した。

戦ってた2人は呆然と立っていた。そして知世たちについていった。大きな門があり門にクロウの魔法陣が描かれていた。だがふと魔方陣の横を見ると太陽と月の紋章が描かれていたのだ。すると知世が持っていた『精霊の鏡』が光りだした。

「私が前に開けたのは第一の封印・・・そしてこれが第二の封印・・・」

鏡が門の上の方に行き扉に飲み込まれた。そして星の紋章が出てきた。すると扉は大きい音をたてて開いた。扉の向こうに赤い石が台の上にのっていた。

知世は歩いていき『賢者の石』を取った。

「これが・・・賢者の石・・・」

賢者の石が大きな光を発した。

「私の望みは・・・賢者の石を永遠になくすこと・・・」

そういった瞬間地震が起こった。

「きゃあ!!」

「大丈夫か!!石が崩れるぞ!!」

「姉さん!!」

知世はまだ門のほうにいた。

「さよなら・・・・小狼・・・」

と最後の最後で小狼のことを呼び捨てにした。もちろんその声は小狼の元には届かなかった。

「知世ーーーーーーーーー!!!」

そう叫んで助けに行こうとしたが結界のようなものに阻まれていけなかった。

「小狼君!!知世ちゃん!!!」

「姉さん!!」

そして小狼が脱出して振り向いた時には地震が収まり洞窟も岩で塞がれた。

「・・・・・知世・・・また・・・助けてやれなかった・・・・」

「・・・・知世ちゃん幸せになれると思うよ。だって知世ちゃん言ってたもん『愛する人のために死ぬということが唯一の幸せだから』って」

「・・・・・・幸せになれただろうか。これでよかったのか・・・?」

「うん・・・・そうだ!!エリオル君にもちゃんと伝言あるよ」

「えっ・・・」

「私は小狼君のことうらんだことはない。だから仇ということをやめて幸せになってほしいって・・・・」

「はい・・・・」

エリオルは寂しく山を降りていった。

「小狼君・・・帰ろう。みんな心配していると思うし」

「そうだな・・・」

「あっ・・・小狼君・・・」

「なんだ?」

「私・・・小狼君のこと・・・一番好きだよ!!」

「・・・・俺もだ・・・」

2人は一瞬の沈黙の後顔が赤くなった。

「幸せになろうね」

「ああ・・・・」

2人は手をつないで帰って行った。桜の家では倒されていた写真たてが立てられていた。その写真は桜と知世が2人で写っている写真だった・・・知世の表情は幼いが幸せでとても笑顔だった・・・この頃からもう自分の運命は知っていたのかもしれない・・・

〜Fin〜

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