Fanfic

タイセツナヒト

2人の同棲生活はおよそ2年くらいだった。だがこの同棲生活に終止符が打たれることになる。そうこの日がそうだった・・・・

朝っぱらから雨が降っていた。

「嫌な日だな・・・・」

と小狼はベッドの上でそうぼやいていた。

小狼が下に降りると誰もいなかった。そしてリビングのテーブルの上に朝ご飯と手紙があった。

「ちょっと出かけてきます 心配しないでください」

と書かれてあった。小狼はテーブルの上においてあった、朝ごはんを食べた。

プルルルルルル プルルルルルル

「はい、もしもし」

「あなたの恋人を誘拐しました。返して欲しかったら『クロウ遺跡』のところに来て下さい」

「ちょっと待て!!誘拐したってどういう・・・エリオル!!」

プツッ、プープープーと電話が切れた。

「くそっ!!」

と急いで着替えて出て行った。

『クロウ遺跡』があるのはとある山の森の中。

そこを知っていたということは通常から小狼たちを偵察していたということだった。だがここでひとつ疑問が残った。それはなぜ姉である知世を連れ去ったか。自分をおびき寄せるためだということは分かったがもう一つ何か理由があると思った。

小狼は指定された『クロウ遺跡』の前に着いた。

その頃知世は別の場所で寝ていた。

「ここは・・・・。(窓から景色を見て)ここ・・・!?『クロウ遺跡』の近く・・・」

知世は記憶をたどってみた。

知世は買い物に行く途中エリオルに見つかってしまい、逃げようとしたがあえなく捕まってしまった。

知世は窓の外を見ると小狼がいるのに気づく。

「小狼様!!早くここから出ないと・・・」

と知世はドアを開けようとしたが開かない。

すると部屋にあったガラスの破片で自分の指を切ってその血で魔方陣らしき陣を描いた。

するとドアが壊れ知世は脱出に成功したのだ。

その頃小狼は洞窟の入り口にいたエリオルと遭遇していた。

「エリオル!!逃げて!!」

とエリオルが何らかの力の風で吹き飛ばされた。

そして小狼の目の前には知世が!!

剣は知世の腹を突き抜けて刺された。血がものすごい量を出している。

「知世ーーーーーーーーーー!!」

小狼は知世の体を起こさせた。

「なんで・・・・」

「・・・・・これが私の望んでやったことだから・・・」

「くっ・・・」

小狼の目から涙が溢れた。

「小狼・・・様・・・あの遺跡の門を開けるには門に描かれているのと同じ魔方陣を描くのです・・・もう門は開いていると思います・・・から・・・」

と知世は息を引き取った。

「目を覚ましてくれ・・・・お願いだ!!」

小狼は悲しみと絶望の涙を流した。

正面を見るとエリオルの姿はもうなかった。

小狼は知世の体を抱え洞窟に入った。

「本当だ・・・開いてる・・・・」

門の中に入ろうとしたが何かの力に阻まれ小狼は意識を失った。気がついたときには小狼はベッドの上にいた。たまたまこの洞窟の近くを歩いていた人間が倒れていた2人を見つけ通報したのだ。

「生きてる・・・」

隣には死んだ知世の姿があった。

翌日、知世の遺骨は御神木の下で丁重に埋められた。

「ごめん・・・・」

小狼が手にしていたのは知世が死ぬ時にしていたペンダントだった。知世はいつもこのペンダントをしていた。燃やす時に貴金属のものは燃やせないというので小狼が大事に持っていたのだ。

《回想終了》

小狼が話し終わった時には2人とも「刀隠神社」の知世の墓前に来ていた。

「ねぇ・・・それからどうなったの?」

「俺はお世話になった考古学の先生のもとを離れて香港に戻ったんだ」

「警察とかには?」

「・・・・事情聴取したときに言った。だけど魔法のこととかはなにも言ってない。言ったら信じられないだろうし。それで何とか死刑とかは免れたけど・・・いまだに納得できない」

「・・・・・知世ちゃんはたぶん小狼君のこと全然怨んでないと思うよ。幸せだったと思う・・・」

「でも俺が殺したんだ・・・」

小狼は歯を食いしばった。

「・・・・知世ちゃんね小さい時に一緒に遊んでたんだ。でも知世ちゃんのお父さんがなくなってイギリスに行ったの。小学校の時にね。手紙のやり取りとかもしてたしエリオル君のことも知ってる。イギリスで知世ちゃんのお母さんがエリオル君のお父さんと再婚したの。そのお父さんも日本人だったの」

「・・・・・・・・」

「それでねお兄ちゃんがイギリスに行く時に私も一緒に行ったの。5年前・・・その頃にはもう知世ちゃんいなかった。日本に帰ってそんなことがあったんだね・・・・で、私は去年帰ってきたの。この日本に」

「ごめん・・・・・」

「・・・・うん。聞く時つらかったけど・・・大丈夫だったよ」

「・・・・・・・」

小狼は沈黙のままだった。

もう時刻は夕方。小狼と桜は沈黙のまま帰っていった。桜は走って帰った。その途中人とぶつかった。

「すっすいません・・・よそみしてて・・・・!!」

桜は驚いた。なんとぶつかった相手がエリオルだった。

「エリオル君・・・」

「・・・・・・・・」

エリオルは無言のまま笑顔だった。

2人は直立不動のままだった。

「お久しぶりですね。桜さん」

「・・・・そうだね・・・・前会ったのは5年前くらいだったよね・・・。私が来たとき教えてもらった住所を頼りに行ったけど・・・そのときにいたのはあなただったよね・・・」

エリオルは冷たい笑顔だった。桜はどことなく恐怖を覚えた。

「小狼君に手を出すつもり?」

「ええ。あの人は絶対に許しませんから」

桜はなぜ笑顔でそう言えるのだろうと思った。まったく隙もなかった。

「私にも手を出すつもり・・・?」

「今のあの人の弱点はあなたですからね」

桜は魔法を使おうと思ったがここで戦うと人が来てしまうと思い逃げようとした。だがエリオルに口をふさがれてそのまま意識を失った。

小狼はその頃家に着いていた。と、電話が鳴った。

「もしもし」

「5年前の決着をつけましょう、小狼」

「その声・・・エリオルか!!」

「あなたの大事な人がひどい目に遭ってもいいんですか?」

「あいつをどうした・・・」

「いま、ここにいますよ。大丈夫殺しはしません。あなたが来るまでは」

「くっ・・・・場所はどこだ・・・」

「9日後、5年前のあの場所に・・・」

「9日後!!その日は俺も発掘の日だ・・・それを知ってて・・・」

「・・・・では」

と電話を切られた。小狼は怒った。だが、その怒りの中には自分がまねいた罪がどれほど大きいものかと実感したのだ。

▲Page Top(T)

←Back(B)

© 2003-2006 sarasa