青天(ブルー)から暗闇(ブラック)へ

空の青さを見つめていると、自分に還るところがあるような気がした。


殺しておけば良かった。
次にあったときは、殺そう。
毎回、そう思ったのに殺せなかった。
山賊の砦で、ゼグナの鉱山で、ディンガルの政庁で。
殺す機会は、幾度もあったのに。

良く晴れた空色の瞳が、印象的な娘だった。
怯える様子も、生意気な所も見あたらない、自然体な姿だった。
自然体という奴は、一番始末に負えない。
無理をしないから、つけいる隙がない。
毎回、殺し損なうのは、きっとそのせいだろうと考えていた。

邪竜の断層の奥で、どうして俺は、あんな話をしたのだろう。
今まで誰にも、昔の話をしたことはなかったのに。
知って欲しかったのかもしれない。
自分──ジュサプブロスという存在を、認めてほしかったのかもしれない。
己が、どれほど太陽に焦がれているのかという、気持ちとともに。



太陽の光が、好きだった。
明るくて、暖かくて、清潔な空間が。
全身に光をあびて見上げた先には、空があった。
青い空が、輝いていた。
空の青さを見つめていると、自分に還るところがあるような気がした。



君を、連れていきたかった。
無明の闇の中にあっても、空の青さを見つめたかった。
照りつける太陽が、与えてくれるものを。
結局、それは手に入らなかったけれど。
目を閉じる前に、君を見れたのは。
暗い所で逝く俺に女神が与えてくれた、慈悲の欠片だったのかもしれない。


君の空色の瞳が、とても好きだった。


生まれ変わりとかがあるなら、今度は太陽の下で────



※ジュサプー独白。誕生日おめでとうなんだけど、あんまりめでたくない話です。だってジュサプーだし(…)。最初のフレーズは、当然、谷川俊太郎様でございます。大好きなのです。
ホントはSSにしたかったのですがー、ちょっと今は無理っぽいので。独白にさせて貰いました。この場面は、連載の方ででてくるかもしれません…。世界、一緒なんです。あっちと。