第1章 アラモ君に襲い掛かる悪夢

 ハプニングはいつも突然始まるのです。
 今回は、昨年、行きそびれた白神山地をメインに、我が家に新しく加わったワンコの『きのこ』のデビュー旅行になるはずでした。
 昨年10月、我が家の一員となったアメリカン・コッカー・スパニエルの『キノコ』もやっと旅行が出来るまでに成長した(?)ので、約1年ぶりの旅行と相成り、我が家を出発したのは7月3日の午後5時過ぎでした。
 道路もいつになく空いており、アラモ君は順調に走り続け、一関ICから、東北自動車道に乗り、夕飯をとるべく、中尊寺PAについたのはまだ午後7時前でした。
 簡単な夕食を取り、ももを散歩させ、今日のPキャン予定地である『津軽SA』を目指しアラモ君をリスタート。その後もいつにも増して順調なアラモ君に小生が『今日は本当に絶好調だね』と言った舌の根も乾かないうちにその事件は起こりました。
 車が少しづつ振動してきたと思ったら、それがすぐに激しい振動へと変わった為、あわてて減速しつつ、ふと見ると『矢巾PA』まで1キロの文字が。
これまでの経験から後輪のどちらかがパンクしたものと思い、路肩をゆっくり走行して無事PAにたどり着きました。
 しかし問題はそれからでした。すぐに車から降りタイヤをチェックしましたが、パンクしている様子は見られません。下回りをライトで照らしながら確認したのですが、オイル漏れなど外見上の異常は見られないので、タイヤを冷やした後、再度PA内を走ってみましたが、振動はやはり収まりませんでした。 ここでいやーな予感が・・・。
 とにもかくにもこのままでは走れないので、奥の手のJAFへ即電話。45分ほどで到着するとのことなので、とりあえず待つことにしましたが、素人考えでもデフかミッションの異常しか考えられませんでした
 そこでいつもアラモ君をメンテしていただいている石巻の修理工場に電話したところ、幸いにもまだ社長が居られたので、症状を説明。社長いわく、その症状なら基本的にはタイヤの異常が挙げられるが、タイヤに異常がないのなら、やはりデフかミッション若しくはドライブシャフト関係とのこと。修理代金のことが思わず頭をよぎりました。
 その後、JAFを待つ間、妻と二人、心は暗ーく沈んでおりました。やがてJAF到着。早速見てもらいましたが、やはり外見上は問題がありません。幸い振動はするものの60キロ程度での走行は可能だったのと次のICまで2キロ程度だったので、とりあえず高速を降りることにして、盛岡南ICまで、誘導していただきました。その後一般道に出て、実際に同乗してもらい症状を見てもらいましたが、やはりデフかミッションとのこと。夜も遅いので当然修理工場が開いている筈もなく、とりあえずPキャンポイントを探すことにしました。JAFの方から数キロ先にある24時間営業の温泉施設を紹介してもらい、とりあえずそこに向かいました。道に迷いながらも何とか着いたのですが、雰囲気的にどうもPキャンポイントには向かない感じが・・・。
 そこではたと気がつきました、先ほど行ったJAFスティションには広い駐車場が。おっとり刀で戻ること15分、幸い先ほどのJAFの方がまだ残っていたので、Pキャンをお願いしたところ、快諾され、とりあえずは一安心。 こうなれば『まな板の上の鯉』、開き直ってビールを飲んで眠りに着いたのは11時過ぎでした。JAFの駐車場にて
 翌朝は雨の音で目が覚めました。朝から土砂降りの雨、それでなくても落ち込んでいるのに、本当に泣きっ面に蜂とはこのことです。しかしJAFの方に親切にしていただいたのが唯一の救いでした。
 朝一番で石巻の修理工場の社長に再度連絡して、盛岡イスズの修理工場を紹介してもらい、とりあえずアラモ君を見てもらうことに。走行不能な場合は石巻から車載車で迎えに来ていただけるとの言葉に心を強くしてイスズの工場に向かったのは午前8時半でした。
 幸いJAFから2キロほどで工場へ到着。早速アラモ君を見ていただきました。その間ワンコ2匹ともども待合室に入れていただくことが出来、とても助かりました。
 その結果、とりあえずデフやミッション下回り等には何も異常がないということでしたが、しかしあの振動は尋常ではないので、実際に街中を走行していただきました。しばらくして帰ってくるなりサービスマンの方は土砂降りの雨の中にも拘らず屋外で左の後輪のタイヤを交換し始めたのです。交換が終わり再度テスト走行の後、サービスマンの方曰く、タイヤの内部のスチールが切れたため、高速回転するとタイヤがいびつになり振動していたとのこと。
 思わず全身の力が抜けました。ちなみに修理代金は点検とタイヤ交換でわずか7350円也。本当に盛岡イスズの方にはお世話になりました。フロントの女性の方にもわざわざ傘を貸していただいたりしまして、とても感謝しております。
 先ほどまではどうやって帰るか、修理代はいくらかかるか、など暗くなっていたのが、一変。そこは立ち直りの早い小林家、こうなれば旅を続けることにして、早速ルートチェックにかかったのであります。