Vol3 ソフトよりあなたの作ったデータが重要だ

 「パソコンで暑中見舞いを出す」と決めて宛先となる友人や親戚の住所を苦労しながら住所録ソフトに入力し始めました。しかしまだあなたは初心者ですからソフトの操作に精通するのに時間がかかったり、キーボード入力が素早くできずイライラして「これなら今までどおり手で書いた方が早いんじゃないかな?」という、至極まっとうな疑問にぶつかる事になります。

 今まで手書きで何不自由なく行っていた事をなぜわざわざパソコンで行うのでしょうか?パソコンでやるからには何かメリットが有るはずです。

 住所録をパソコンで作るメリットは想像しやすいでしょう。一度パソコンに入力した情報は何度でも印刷することが可能ですから、この夏に入力した住所データはお歳暮の宛先としても、そのお礼状の宛名としても、年賀状の宛名としても毎年利用できるようになります。またパソコンに蓄えられたデータは簡単に検索することが可能ですから、急に連絡が必要な友人の住所を、例えば千件の住所録からでも一瞬にして検索できるようになります。
 さらにパソコンに入力されている情報は加工や追加、変更したりすることが簡単にできますから、その住所録に冠婚葬祭の祝儀や香典、いろいろなお祝い事の出納を入力する欄を追加すれば、急な義理にも慌てずに必要な準備をすることが出来るようになるでしょう。どうですか、紙の住所録と比べるとかなり便利な気がします。

 もうひとつ、家計簿をパソコンで付ける事を例にしてみましょう。
 家計簿ソフトは初めは「何月何日に何を買った」と入力するわけですが、その時は「今日はちょっと良い肉を買ったので食費が多いわ」とか「エアコンが壊れて大変な出費だわ!」などと、その日の出費だけを考えながら入力しています。しかし、頑張って一ヶ月間入力すると、そのソフトは食費が月間支出の何パーセントを占めるだとか、営繕費が何パーセントだとかを円グラフなどで表してくれます。つまりパソコンなら継続的に入力し蓄積されたデータを簡単に分析をすることができるのです。これは紙上では決してできないことですね。

 さて、以上の二つの例には実は「パソコンを使いこなす」ための重要なポイントが含まれています。
 はがきにピッタリ印刷できたり、きれいなグラフを見ていると「このソフトはなかなか凄い」と関心してしまうのですが、実はその印刷もグラフも地道に入力したデータを再利用することで初めて作られるものなのです。ですからソフトが凄いというよりも真面目に住所や出納を入力したあなたが凄いのです。もっと言うとあなたの入力したデータが凄いということになります。この意識が肝心です。

 つまり「パソコンを使いこなす」とは「ソフトの操作を覚えて使えるようになる事」ではありません。目的にあったソフトを選んで利用価値の高いデータを作成・蓄積する。さらに蓄えたデータを整理・参照・検索・印刷・分析・加工などいろいろな角度から再利用する方法を身につけていく。そういう事なのです。 (館報7月号)
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