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Inside Farming Vol.191


震災のあと 


 3月11日の震災は本当に切ないものでした。地震被害や津波被害の想像を絶する大きさと、福島第1原子力発電所が爆発(3月12日1号機爆発、3月14日3号機爆発)したことによる得体の知れない恐怖によって、ショック状態に陥ってしまい、日々の事象について能動的な行動をとる気力が失せてしまいました。昨日から今日、今日から明日、そして未来へと続く時間が突然に断ち切られる無力感に苛まれる日々。震災直後の1ヶ月間に唯一取った能動的な行動は、雨が降る度に我が子を学校へ迎えに行ったことだったでしょうか。それだけが無力な自分が未来のためにできることのように思われました。

地表面から1m高さの空間線量率 文部省航空機モニタリング結果からの引用
地表面から1m高さの空間線量率
震災にみまわれた方のことを思うと言葉はなくなってしまいます。私は、突然の天災(降雹)によってそれまでに営んでいた家業を廃業した経験を持っていますので、突如として「仕事」という生活の基盤を失った方々の絶望感と心の苦しみを慮ります(もちろん、私の経験などは、住む家を奪われ、生命の危機に直面された被災者の方々の苦悩と比較することはおこがましいことなのですが)。被災された方々のこのような苦悩を少しでも和らげるためには、何をおいても住居と雇用が必要だと思います。被災者に対する住居対策と雇用対策こそ、国、地方自治体、財界、メディアが連携して、早急に大々的に行われることを切望します(万全ではないものの仮設住宅の手配が進んでいることは報道されています。しかし、被災者に対する具体的な雇用対策の報道をあまり目にすることがないので心配です。復興増税をインフラの整備の充てることも必要なのでしょうが、幅広い分野の復興に充てて、さまざまな産業で雇用を創生して欲しいのです。)

そして、放射性物質による汚染を心配しています。11月11日に公開された「文部科学省による岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県及び富山県の航空機モニタリング」によれば、福島第1原子力発電所から250km以上離れている長野県にも放射性物質は飛来しているようです。「平成23年7月19日原子力災害対策本部政府・東京電力統合対策室 東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋当面の取組のロードマップ(改訂版)」を見ると、現時点(11月)はステップ2であり、原子炉建屋カバーの設置が成され、飛散抑制が試みられている段階のようですが、年末までに放射線物質の漏洩を止めることができるでしょうか。予断を許しません。

加えて、震災以降は、TV、新聞、WEB、或いはTwitterを介して提供される情報の何を信じてよいのかが、全く判らなくなっていまっています。これだけ情報が溢れているのに、目的とする情報になかなかアクセスできない。有事に至って従来の判断の基準が変更されたり、二転三転しているので、情報を取得しても、その情報の意義を判断できない。結局、「情報が全くない」状態と同じになっており、8ヶ月経った今でも漠然とした不安を感じる日々が続いています。
(内容がまとまりませんが・・・・、思うことを記録しておきます。 2011/11/14)

*)画像は「文部科学省がこれまでに測定してきた範囲及び岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県、及び富山県内における地表面から1m高さの空間線量率」であり、「文部科学省による岩手県、静岡県、長野県、山梨県、岐阜県及び富山県の航空機モニタリング」(http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/11/1910_111112.pdf)からの引用です。

*)東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋当面の取組のロードマップ(改訂版)は以下のURLにあります。http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111017l.pdf


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