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Inside Farming Vol.158


行政書士資格よ、ありがとう。


おかげさまで、日々の弁理士業務はたいへんに忙しいです(事務所で頂いた仕事をとにかく一生懸命に、できるだけ丁寧に行なおうと思う努力の日々です)。そこで、弁理士業務を専業とするために、平成18年の3月末日をもって行政書士事務所を閉所することに致しました。
思い起こせば、まさに、降雹で果樹園が全滅する直前にした事務所の開所でした。すなわち、私が特許事務所に勤務し始めたその年に行政書士登録をしたのでした(本当に転機となる年でした)。あれから5年。ほとんど開店休業の事務所でしたが、地域の方の相談事が持ち込まれたこともありました。また、資格を通じて知り合った方、試験や研修で得た知識も財産となりました。そして、私にとっては、弁理士試験の選択科目の免除を受けることができるという意味をもつ資格でした。すべてが、この資格から始まったという意味で本当に感謝しています。

行政書士(試験)について、少しおさらいしてみます。行政書士資格は資格受験機関の広告などでは法律系資格の入門資格などと謳われていますが、そのイメージほどは容易に合格してなれる資格ではないと思います。例えば、(財)行政書士試験研究センターのHPに掲載されている行政書士試験の統計を見ますと、平成8年度から平成17年度までの過去10年までの平均では受験者数54,600/年、合格者数4,023/年、平均合格率7.38%となっています。合格率が7%とは、かなり激戦の試験です。特に、昨年の平成17年度の合格率は2.62%という超難関になっています。また、試験範囲を見ても、憲法、民法、行政法、地方自治法、行政手続法、行政不服審査法、戸籍法、住民基本台帳法、労働法、商法、税法という幅広い法令から40題、一般教養から20題が出題されるというもので、一朝一夕に網羅できる出題範囲ではありません。
ですから、私は、この行政書士試験に受かったことによって自分に自信を持つことができました。そして、「チャレンジすれば弁理士試験にも合格できるはずだ」という希望と自信を与えてくれたという面でも、本当に感謝しています。

私の友人で、私の一年後に行政書士試験に合格し、開業している方がいます。その方は、私が弁理士試験にチャレンジしている間に着々と行政書士業務に励んでおられ、現在では、かなり仕事量をこなしています。例えば、NPOと組んで各種の相談会を催したり、会社の記帳業務を受託したり、相続相談や遺産分割協議書を作成したりと大忙しです。地方紙に定期的に事務所広告も掲載しています。この方にかかれば、ここ数年の市町村合併も大きなビジネスチャンスとなっており、各種の許認可申請も増加しているのだといいます。
この方が特に素晴らしいのは、試験に合格するのに前後して、税理士、土地家屋調査士、司法書士、弁理士(私です)のネットワークを作ってある点です。この結果、合格と同時に開業し、着実に仕事を獲得し、羽ばたいているのです。すごい!と思います。私が勉強していた4年間に、この方は行政書士としての実務のキャリアを4年、確実に積んでいるのです。
資格ブームの昨今ですが、「資格」を取得すれば直ぐに明るい未来が開けるというのは幻想です。しかし、資格を武器に未来を切り開いていけるというのは本当だと思います。ですから、日々努力し、精進し、信頼を得ることができれば未来は待っているのです。行政書士の彼は、その点で、私の目標です。このような目標を与えてくれた行政書士に、また感謝するのです。(2006/4/2)


(P.S.行政書士試験、弁理士試験に受かってみて、国家資格の難易度を合格率や合格者数、試験範囲で論じたり、他の資格とその難易度を比較することにあまり意味がないということは分かっているのですが、一応の目安にはなると思いまして、合格率等のデータを転載しました。なお、平成18年度から試験科目や出題数の大幅な改正があるようですので、受験を考えられている方はご注意を!(財)行政書士試験研究センターをご参照ください)。





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