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Inside Farming Vol.109


プレゼンテーション・ソフト症候群


 園主は、おこがましいことにも12年以上昔、農業の仲間にコンピュータ(PC)の有益性を説いてPCを普及させようと試みたことがあった。今では、河合果樹園のある波田町では、JAと国の補助事業によって、ほとんどの農家にPCが導入されているが、その当時の園主の試みは、ほぼ不発に終わった。振り返れば、園主は、当時の農業後継者の会合などで、参加者個々のPCの知識とは無関係に「十把一絡げ」でPCの有益性について説明しようとして失敗してしまったような気がする。あるいは、自分の知識を基準として自分本位に説明しようとして失敗してしまったような気がする。(今思えば、別に園主が使命感に燃えてPCの普及活動をする意味は全くなかったのだが・・)。

 それ以来、園主は、会合などで人に何かをプレゼンテーションするということは本当に難しい事だ!と感じている。特に、プレゼンテーションの場の「空間」「時間」「盛り上がり」「参加者の興味」そして「内容」と「レベル」を、参加者の反応を見ながら臨機応変にあわせていくことの難しさと、難解なテーマを判り易く説明することの難しさを、いつでも感じる。

 結局のところ、臨機応変な対応も、難解なことを簡易に表現することも、プレゼンンテーションをするテーマについての深い知識と、参加者の層に対する洞察力があれば、多分、可能なのであろう。が、それらの力を兼ね備えることは難しい。
 あれ以来の12年間で、園主が結論として得たことは、良いプレゼンをするためには、ある程度の(失敗の)プレゼン経験を積むことが必要だったという事。そして、生半可な知識で人にプレゼンしては、ためよ!ということだ。まあ、園主が公衆に対して何かをプレゼンする機会が(このHP以外には)殆ど無いのが幸いともいえる。

 唐突になぜ、プレゼンテーションの話題になったのか、というと、昨日、ある実務の研修会に対価を払って参加したにもかかわらず、内容に閉口したからだ。

 その研修会の講師は、プレゼンテーションソフトで作成した画面を、PC画面プロジェクタで映し出しながら揚揚と説明をしているのだが、まず、どうみても内容のレベルと参加者の層が合致していない。加えて、配布された資料は、前記プレゼンソフトの画面のハードコピーで、A4片面に、大きな文字で1ページに6行くらいしか書いてない(資源の無駄遣いをするなよっっと思わず突っ込みたくなる)。
 これって、噂の、プレゼンテーションソフト症候群??。つまり、ソフトのウイザードによって半自動的に作られた話の展開と、お決まりの資料(バックの模様もうざいです)。講師は、PCによる紙芝居に囚われて、話が全く膨らまない。細部に関する説明がない。園主の判断では、プレゼンソフトで作成した画面の大半は、講師が自分の講義の進行に洩れがないか確認する程度の箇条書きであって、プロジェクタで映し出し、かつ、配布するほどの情報価値はなかったが・・。

 と、自分のことは棚にあげて、思わず、書いてしまいました。時間が無いなどの講師に不利な条件も考慮してあげないと可哀想なのですが、専業(と思われる)の講師でもこのレベルなのですから、いわんや12年前の園主をや、などと変に納得。でも、これってソフトのせい??じゃないよね。

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