中国硯について

 

 

左の写真は、沙浦(さぷ)の硯坑で採取した原石です。
白色の部分は魚脳凍(ぎょのうとう)、白い線は冰文(ひょうもん)、青く澄んだ天青色に青花を含んでいて、誠に湿潤美麗です。
沙浦の硯坑は、西江の近くにあり深いところでは二十メートル以上もあります。
露天堀と坑道式との違いがありますが、水厳(老坑)との状況(位置)が似ているようにも思われます。
その為か、端渓硯について熟知されている人ですら、沙浦硯と水厳硯を見間違えるほど良く似ています。
大物の原石が掘り出されることから、沙浦の端石硯は大型硯等多数が製作されると思われます。

左の写真は、紫色の硯坑の直ぐ近くに在る緑端の硯坑です。
緑色の原石が積み重なる石層が露出しています。
旧緑端の産出地はペーリン(北嶺)でしたが、枯渇してしまい、現在の緑端はこの沙浦が産出地になっています。
ペーリンの旧緑端坑とは三十キロ以上も離れていますが、沙浦の緑端とは緑の色彩がよく似ています。
しかし、ペーリンの緑端硯と実際に比べて比較すると、微妙に異なることが見えてきます。

左の写真は、沙浦の緑端で製作された現代の蘭亭硯です。
大変よくできていますが、旧蘭亭硯との第一の違いは、曲水の宴の風が吹いてくるか否かです。

 

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