3.結果


1)未精製物と精製ジベンジリデンアセトンの融点について

未精製ジベンジリデンアセトン
融点 103℃〜105℃
外観 淡黄色の粒状結晶

精製ジベンジリデンアセトン
融点 112℃〜113℃
外観 淡黄色の粉末状結晶

ジベンジリデンアセトンの文献値は110℃〜111℃である。未精製ジベンジリデンアセトンの融点が低いのはベンズアルデヒド(融点179℃)を含むためだと考えられる。

2)未精製ジベンジリデンアセトンの化学収率

未精製ジベンジリデンアセトンは0.7g収集された。

合成に使用したアセトンは6.8×10^{-3}mol
アセトン1molに対し未精製ジベンジリデンアセトンも1mol生成されるので未精製ジベンジリデンアセトンの理論生成量も6.8×10^{-3}mol
理論収量は
6.8×10^{-3}mol×234.30g/mol=1.6g
であるので未精製ジベンジリデンアセトンの収率は
0.7g/1.6g×100=44%
この収率の低さは操作Bの段階で十分に反応が進行する前に攪拌を終了したことによると考える。

4.考察

1)一般にアルデヒドがケトンよりも反応性が高い理由

 二つの効果によってアルデヒドはケトンよりも反応性が高い。
 一つは立体的効果である。ケトンは二つの比較的大きな置換基が存在するがアルデヒドには一つしか存在しない。そのため求核試薬はより容易にアルデヒドに接近する。つまり四面体中間体に至る遷移状態はケトンよりもアルデヒドのほうが立体障害が少なくエネルギーも低いからである。
 もう一つは電気的効果である。アルデヒドはカルボニル基の極性の度合いが大きいため、反応性はケトンより高い。これは第二級カルボカチオンよりも第一級カルボカチオンの方が反応性が高いのと同様である。

2)酸である安息香酸と塩基である炭酸ナトリウムの化学反応式と平衡が右辺に偏る理由

化学式は



となる。

安息香酸は

炭酸ナトリウムはイオン性のため、ナトリウムイオンが電離し非常に水溶性である。炭酸ナトリウムの電離は以下のとおりである。

Na_2CO3 + 2H2O ⇔ NaHCO3+ + H2O + OH- + Na+ ⇔NH2CO3+ + 2OH- + 2Na+

ここで発生した水酸化物イオンが安息香酸と反応して安息香酸イオンになる。なぜなら水(pKa=15.74)は安息香酸(pKa=4.18)よりも強くプロトンをつかんでいるため平衡は右へ進む。

3)この実験で分液漏斗を水槽と有機層に分離するために使用しているが有機合成では抽出のためによく利用される。この原理を示せ。

 溶液と混ざり合わない溶剤を用いて溶かし出し分離する。溶剤は目的物に対して溶解度が大きくなくてはならず、ほかの混在成分が溶けにくいものでなくてはならない。普通は水溶液から有機溶剤を用いて抽出するか、有機溶剤に溶けている物質を酸やアルカリの水溶液で抽出する。抽出は溶媒と溶液の境界面上でしか起こらない。そのためよく振ることで抽出を促進する。静置し二層に分離した後に二層のどちらが溶液、抽出液であるかは比重を参考にするといいが層が逆になることもあるので注意が必要である。

分液漏斗は下栓が閉じていることを確認し溶液と溶剤を共栓から入れよく振って混ぜ合わせた後に二層に分離するまで静置する。その後下栓から下層溶液を回収し、次に容器を買えて上層溶液を回収する。新しい溶剤を用いてこれを数回繰り返すと純度が高まる。

4)ベンズアルデヒドと金剛アルドール反応の反応機構

5)アセトンと問う折るのベンズアルデヒドを反応させたとき

問うモルなので4の上半分で反応が終結する。

6)吸着クロマトグラフィーによってなぜ目的物質の分離精製ができるのか。

 吸着クロマトグラフィーとは吸着剤と混合物の吸着力の差を利用して分離する方法で、普通ガラスでできたカラム管に吸着剤を柱状につめた物を用いて操作を行う。カラム中に混合溶液を注ぎ込むと吸着剤との吸着力が弱い物質から順にカラムから流れ出すために分離を行うことができる。このため吸着剤、混合物の展開溶媒の選択は大切である。
 吸着カラムクロマトグラフィーはガラス製のカラム管に吸着財をつめる。このカラム管の上方から溶液を流し込むと吸着力の弱い物質から順にカラム管の下から出てくるのでビーカーなどで回収することで分離することが可能である。
 ベンズアルデヒドはトルエンに難溶のため展開溶媒に用いられたと考える。吸着剤としてシリカゲルは表面にヒドロキシル基を持つだけではなく極性の炭酸原子を持つ非常に極性の物質である。このため無極性分子よりも極性分子を強く吸着する。一般に有機化合物の極性は官能基の数が増えると増大し炭素数が増えると減少する。よって今回の実験ではジベンジリデンアセトンとベンズアルデヒドを分離するのに吸着カラムクロマトグラフィーを用いた。

<参考文献>

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マクマリー有機化学実験、John McMurry、東京化学同人、2005.3.25
[2]P724-725 [6]P50-51、P779-780 [7]P711-712、P894-906

定量分析化学改訂版、Jr. R.A.デイ,A.L.アンダーウッド、培風館、1993.9.10
[3]P486 [4]P403-405

有機分析、小倉治夫、広川書店、1979.9.25、[5]P70-72 [9]P147-154

入門クロマトグラフィー、Roy J. Gritter,Arthur E. Schwarting,James M. Bobbitt、東京化学同人、1988.4.5、[8]P80-81

フィーザー/ウィリアムソン有機化学実験、L.F. フィーザー,K.L. ウィリアムソン、丸善株式会社、2000.3.30、[10]P302

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