3.結果


1)留出した液体の温度範囲

初留出分 132℃
中間留出分 168〜173℃

2)アセトアニリドの粗結晶および再結晶後の融点(mp)、外観の比較。

 mp外観
理論値113-114白色結晶性粉末
粗合成物115-116℃白桃色の大きな結晶
精製合成物115℃白色結晶の針状結晶

3)出発原料アニリンを基準として、未精製および精製アセトアニリドの化学収率をそれぞれ計算し実収量が理論収量に到達しなかった理由。

アニリンは1.1×10^-2[mol]用いられている。アニリン1[mol]からアセトアニリド1[mol]が生成されるので
アニリンは1.1×10^-2[mol]からはアセトアニリド1.1×10^-2[mol]が生成される。

1.1×10^-2[mol]×135.17[g/mol]=1.5g

理論収量は1.5gである。

表(略)

粗合成物は7割もの収率を誇るのに対し生成合成物は5割弱と収率が落ちてしまった。
これはDの吸引ろ過におけるろ液中にもアセトアニリドが析出していた。これが収量を半分以下に落としてしまった原因ではないかと考える。

4)粗アニリンと168〜177℃までで留出したアニリンの屈折率(nTD)を示し、文献値との比較。

文献値 1.5863
粗合成物 1.5879
生成合成物 1.5868

測定温度15.5℃

4.考察

1)蒸留法による物質精製の原理

溶液の一部を蒸発させ回収することで残留液と分離する方法を蒸留法という。 溶液中のより揮発性の高い成分が蒸気中に、揮発性が低い・非揮発性の成分が溶液中に増加してくることを利用し物質の精製を行うことができる。そのため精製分離する物資の揮発性が酷似している場合に、この方法は用いられない。

2)求電子置換反応においてアニリンとアセトアニリドの反応性を比べるならばどちらが不活性か。理由

求電子置換反応はベンゼン環の置換基により反応性に違いが現れる。
活性化基全てに共通の特徴は、置換基が環に電子を供与することであり、不活性化基全てに共通の特徴は置換基が環から電子を吸引することである。
アニリンの場合Nの電子はベンゼン環に供与される、しかしアセトアニリドの場合Nの電子はカルボニル基に供与される。
そのため、相対的に見るとアセトアニリドはアニリンよりも求電子置換反応に対して不活性である。

3)アニリンと酸無水物との求核アシル置換反応の反応機構を示せ。

4)なぜ再結晶法によって物質が精製できるのか、再結晶法について。

結晶性物質を溶媒に溶解し、適当な方法で再び結晶として析出させる方法を再結晶法という。
温度により溶媒への溶解度に差があることを利用し高温の飽和溶液を冷却したり、溶媒を蒸発させて濃縮したり、溶液に他の適当な溶媒を加えて溶解度を減少させたりする方法がある。共存する不純物の多くを溶液中に残すことにより精製が可能である。

5)屈折率nDTにおけるDとは何か。

<参考文献>

有機化学実験、2007.4.1
マクマリー有機化学実験、John McMurry、東京化学同人
定量分析化学改訂版、Jr. R.A.デイ,A.L.アンダーウッド、培風館、1993.9.10
岩波 理化学辞典 第5版、岩波書店、長倉三郎,井口洋夫,江沢洋,岩村秀,佐藤文隆,久保亮五 編集、1998.2.20

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