Works

新聞小説  

SOSの猿(伊坂幸太郎)

「読売新聞 夕刊
  '08.10-'09.7

 


   
雑誌  
夢の窓
(ブライアン・ラムレイ)

「Night Land」'13春号
(トライデント・ハウス)

ヘスター伯母さん
(ブライアン・ラムレイ)

「Night Land」'12夏号
(トライデント・ハウス)

     

地図と年表<第五話>(朝倉かすみ)

「紡」vol.11
実業之日本社

地図と年表<第四話>(朝倉かすみ)

「紡」vol.11
実業之日本社

地図と年表<第三話>(朝倉かすみ)

「紡」vol.9
実業之日本社

地図と年表<第二話>(朝倉かすみ)

「紡」vol.8
実業之日本社

地図と年表<第一話>(朝倉かすみ)

「紡」vol.7
実業之日本社
     

小さな兵隊(伊坂幸太郎)

「小説すばる」'12年11月号(集英社)

僕の舟(伊坂幸太郎)

「小説新潮」'11年12月号
(新潮社)

タキオン作戦(伊坂幸太郎)

「紡」vol.1
実業之日本社

しらみつぶしの時計(法月綸太郎)

小説NON '08.3 
(祥伝社)
妻の義務(カトリーヌ・アルレー ) ミステリマガジン No.574
(早川書房)

ピンキー(ディーン・クーンツ)

ミステリーズ!vol.
(東京創元社) 

新書 ほ

陽気なギャングの日常と襲撃
           (伊坂幸太郎 )

祥伝社
映画「陽気なギャングが地球を回す」公式ガイドブック

「海には、逃したのと同じだけの良い魚がいる」収録
         (伊坂幸太郎 )

祥伝社

 


「陽気なギャング野日常と襲撃」

巨人に昇れば、巨人より遠くが見える
        
小説NON '04.5 (祥伝社)
ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない
         
小説NON '04.9 (祥伝社)

卵を割らなければオムレツをつくることはできない
         

小説NON '05.1 (祥伝社)

毛を刈った羊には、神も風をやわらげる
         

小説NON '05.6 (祥伝社)
カバー 絵    

単行本

アゴタ・クリストフ全作品群(1990-2005)
(アゴタ・クリストフ
−アゴタ・クリストフと「悪童日記」の思い出−

早川書房
「裸のアマン」

文庫

  「幻のハリウッド」(ディヴィッドアンブローズ)

創元推理文庫 (東京創元社)

「悪童日記」(アゴタ・クリストフ) ハヤカワepi文庫(早川書房)
「ふたりの証拠」(アゴタ・クリストフ)
「第三の嘘」(アゴタ・クリストフ)
「昨日」(アゴタ・クリストフ)
   

AGOTA KRISTOF


 

−アゴタ・クリストフと「悪童日記」の思い出−

「世界各国から私の本が翻訳されて送られてくるけれど、日本の装丁はいつもとてもきれいで
一番好きです。すばらしい」・・・・

 アゴタ・クリストフが舞台中央から、ほとんど最後列にいた私に顔を向けて目を細め
笑顔でそう言ってくれました。
 同時通訳の方が彼女のフランス語を訳すのがイヤホンから私の耳に流れる前に私はそれを理解できました。

 日仏学院主催のアゴタ・クリストフの 講演会の時のこと、2時間以上並んで後の方の席にやっと座ることができた、その後のことです。

 私のフランス語の挨拶は彼女に通じなくて、アゴタが「これはフランス語ですか?」と小さな声で近くにいた司会者に聞いたのがマイクに入り、直後に同時通訳の女性がそれをはっきり日本語に訳したため場内は大爆笑に包まれ、訳者の堀茂樹さんがあわてて「彼女はあなたの本のカバーの絵を描いた女性で、あなたとお話するために日仏学院で勉強したんですよ」と説明して下さったのです。
 それを聞いてそれまで強張っていたアゴタの表情が初めて「ああわかった」という笑顔に変わり、そのまま私にはもったいないような言葉を投げかけてくれたのでした。


忘れられない思い出です。「幸せに包まれる」というのはこういう感じのことだと思いました。

幼稚園の園長先生のようなあったかい感じのふっくらした女性でした。

享年75歳。御冥福をお祈りいたします。

悪童日記
堀 茂樹 訳 『悪童日記』


-「悪童日記」三部作-
  
 
最初「悪童日記」のカバー画の依頼を受けた時にはアゴタ・クリストフは日本では全く無名、訳者の堀茂樹さんも同様の新人でした。
私にいたっては作品持ち込みに行ったものの、まさか学校で勉強したばかりの絵で本の表紙を描かせていただけるとは思っていませんでした。

  「この絵の感じで描いていただけますか?」
それは私が持ち込みの時に早川書房さんに置いてきた、学校内で開いた展覧会のポストカードでした。これを編集の方が気に入って下さったのです。ジュネの「花のノートルダム」の読後感を描いたものでした。(「ジャン・ジュネと男友達

   驚いたことに編集の方は「絵だけでなくデザインもやってみますか」とおっしゃいました。
装丁デザインというのは普通はデザイナーさんのお仕事です。なんでもやってみたくて欲張って飛びつきました。でも私には経験のないことでした。
  
   それでもレイアウトや紙の種類、色は全て私の指定どおりになりました。 書体は社内の制作の方にお任せして完全版下にしてもらいました。(Mac以前の時代!)最初は書体見本表を見て自分で指定してみたのですが、 どうも絵描きの発想は通用しない感じがしました。 書体こそ装丁の生命を決めるものなのでしょう。

   絵はゲラを読んだ後の鮮明なイメージで一気に描くことができました。それまで 100号以上の絵ばかり描いていたので、 つい絵が大きくなってしまい結局原画は実寸の5倍のサイズで仕上がりました。 これまで早川書房に持ち込まれた原画の中でも2番目だったか(1番だったかも)に大きなものだったそうです。 こんなてんやわんやの末「悪童日記」の表紙ができました。(もちろん他の方は皆てんやわんやなんてしていませんでしたが)

 編集の方は面白い方で、その後も「今度は白地を生かしてシンプルにしましょう。」とか、「次は漫画っぽくしましょうか」とか、連作ということにこだわらず自由に楽しんでいたようです。
   最初の三冊には「装丁 高木 桜子」と記載されてあります。 が、実際には制作の方、編集の方との合作です。 私がしたのはやはり絵描きの仕事だったといえるでしょう。
    装丁専門の方にこのなりゆきをお話しするととても驚いて「そんな経験は二度とさせてもらえないよ」とおっしゃっいます。 実際たいへんなラッキーだったのだと思います。

 制作する上で一番難しかったのは「第三の嘘」です。

 「悪童日記」のような一発で心をえぐってくるようなインパクトはない、「ふたりの証拠」のように濃厚でもない、ひたすら透明で美しく悲しい気配に満ちており、それを私のコテコテした筆致で表現するのが難しかったのです。そういうわけでこの作品は紙に水性絵の具、水性色鉛筆であっさり仕上げました。淡々とした物語に潜む残酷さや苦痛は表現できなかった感が残りました。

-「昨日」-

 どうも満足のいかないこの時の心残りは「昨日」によって解消しました。「昨日」も「第三の嘘」同様、透明感のある静かな作品でしたが、この作品の装画を描く時には私には手法についての準備ができていました。 マチエールは堅固で、表面は淡白にすると決めていました。そして納得のいく時点で筆を止めました。

-「怪物」「伝染病」-

 この2作についても迷いなく筆が進みました。用いた画材も表現のしかたも基本的に「悪童日記」の絵に連なるものです。

 「怪物」はそれが戯曲だとか小説だとかいう形式を乗り越えてがつんときました。私にとっては「悪童日記」よりも強烈で、これこそアゴタ・クリストフだ、と感じました。この戯曲集に彼女のエッセンスが全て絞り込まれているのだと。
 小説に限らず映画でも漫画でも、作家の初期の作品にはその人のその後の活躍の根拠になるものが固まりのまま異様なほどオーラを放っているものです。いわば”種”の状態。この2作は彼女の種。
この戯曲に最も早く注目し演じていた劇団こそアゴタの発掘者であったはずですが、その小さな劇団は今どんな活動をしているのでしょう。

 

-「どちらでもいい」-

 ついにアゴタ・クリストフの新作か・・・と思いきやアゴタ・クリストフが「悪童日記」以前に書きためた過去のノートの習作を集めた短編集。全25篇。
玉石混淆のびっくり箱です。完成度の低いものも含まれています・・・が「アゴタ・クリストフ」の手になるものならなんでも読んでみたい!という熱烈な読者の要望に応えていると思います。
メモ書きを集めてできたかのような短編集にふさわしく、ノートの切れ端を思わせる形に絵を縁取りしてもらいました。

あえて完成を目指さずに手前でやめてみました・・・という絵です。

 

 

 


ふたりの証拠
堀 茂樹 訳 『ふたりの証拠』


第三の嘘
堀 茂樹 訳 『第三の嘘』


昨日
堀 茂樹 訳 『昨日』


怪物
堀 茂樹 訳 『怪物』


伝染病
堀 茂樹 訳 『伝染病』

c'est-egal
堀 茂樹 訳 『どちらでもいい』


「悪童日記」 イラストボード・アクリル絵の具
「ふたりの証拠」 クロッキー帳にドローイングした水彩をケント紙に貼付。
「第三の嘘」 荒目の紙に水彩絵の具とインク
「昨日」 イラストボード・紙粘土・グワッシュ・アクリル絵の具・小枝・ドライフラワー・紙・・等
「怪物」 イラストボード・アクリル絵の具
「伝染病」 イラストボード・アクリル絵の具
「どちらでもいい」 イラストボード・グァッシュ