3.5(/3.8)MHz帯で電波を出したいと思い立ち、マグネチック・ループ・アンテナを作ってみました。HFローバンドで使い勝手の良いアンテナといえばλ/2ダイポールが定番でしょうが、住宅密集地のウサギ小屋に暮らす身には高嶺の花、必然と小型アンテナに目がむくわけです。そして昔々、とあるゴミ捨て場から拾ってきた真空バリコンなるものを大事にしまっていたのが運の尽き。
こんな物ができあがりました
メインループを楕円形にした理由は一定のループ長を維持しながら、かつ、設置後も手の届く高さにしておきたかったからです。また、真空バリコンをメインループの下側にもってきたのはトップヘビーを避けるためです。給電ループ(小ループ)はメインループと磁気結合させますがDC的にはつながっていません。(少しは雷対策になっているかな?)
エレメント材料: 10 mmφ銅パイプ(メインループ、給電ループ)
メインループ周囲長: 8.3 m (縦幅 2 m、横幅 3 m)
給電ループ直径: 47 cm (ソーターバランを介して同軸ケーブルに接続)
真空バリコン: 20-500 pF、耐圧15 kV、JENNINGS社製
MMANAでシミュレートしてみると、自由空間でのゲインは -7.7 dBi とのこと。ダイポール比で-10dBですから、100W入れてやれば ダイポール+10W と同等だな、などと勝手に納得。節電のご時世に非国民とお叱りを受けそうです。
バリコンはDCモータ駆動としました。容量最小から最大まで24回転、DCモータは減速ギア付きで〜20rpmです。チューニング時にモータの回転速度を下げるため、パルス電源を組みました。これで回転速度を約1/70に落としています。
下の写真は真空バリコンを回すメカです。
3.5/3.8/7 MHz の各バンドに同調させるバリコン容量は約 210/180/45 pF でありました。 最高共振周波数は約 9 MHz で、10 MHz バンドには届かず、残念。アンテナのチューニングにはインピーダンスブリッジがよろしいようです。ノイズブリッジも試しましたがドンピシャ合わせるのは難しいです。
雨による共振周波数の変動
当初、アンテナが雨にぬれると共振周波数が3.5MHz帯で最大8kHz、7MHz帯では約30kHzほど低下しました。そこで、真空バリコンのハウジングを塩ビパイプからアルミボックスに換えてみたところ、雨による共振周波数変動をかなり抑えることができました。アルミボックス6面のうち、電極を取り出す2面はアクリル板を使いました。ですから完璧な静電シールドにはなっていないのですが、それでも雨天時の周波数変動量は3.5MHz帯で2kHz以下、7MHz帯では約8kHzとそれぞれアンテナのバンド幅よりも十分小さな値に収まりました。(ちなみにアンテナのバンド幅は5kHz@3.5MHz帯、16kHz@7MHz帯です。) ポテンショの抵抗値と共振周波数との対応表をつくっておけばインピーダンスブリッジに頼らなくてもそこそこにチューニングできそうです。
参考:「3.5/7MHz用Small Loop Antennaの放射効率 (2015/10/16)」