日の出とともに小鳥のさえずりが聞こえる、、、そんな癒し系のおもちゃを作ってみました。名付けて“早起き鳥”。いやいや、本物の小鳥たちは日の出前に賑やかに活動するのですが、目覚めの遅い人間様からみれば早起きだということでご了解ください。
ソーラーセルをチャープ発振器の電源にして圧電スピーカーを鳴らすという単純な構成です。ただ、屋外でも使えるように防水対策を施します。
1.部品の調達
ソーラーセルは百円ショップのソーラーライトから部品取りするのが安上がりのようです。この手のソーラーセルをネットで探してみたのですが、100円以下で売っているお店は国内には無さそうです。「ソーラーアクセントライト」でWeb検索すると、このソーラーライトに多くの方が関心を持っておられることがわかります。ソーラーセル以外にもオレンジ色LED、1回路2接点スライドスイッチ、ニッケル水素充電池(80mA・h)などの汎用部品が使われています。余談ですが、私がAMラジオ代わりにしている古い無線機(IC726)のバックライトに使われている米粒球が切れてしまいましたので、部品取りしたオレンジ色LEDで置換えました。色調、明るさとも米粒球の代替にぴったりで、満足しています。
ソーラーセルの特性は、例えばJR7CWKさんのブログに紹介されています。3cm×3cmのガラス基板に5本のストライプパタンが見えますがこのうち中央部の3本が使われ、3V、10mA程度の出力が得られます。1つのストライプあたり1Vになりますので、材料はおそらくアモルファスシリコンでしょう。
2.回路構成
ソーラーセルの出力電圧が3Vなのでそれ以下の低電圧で動作することを条件としました。また、トランスは高価なので使わないことにし、TrとC、Rのみの非安定マルチバイブレータを3組つなぎ、鳥の鳴き声を真似ることにしました。基本構成は下図のとおりです。NE555のようなタイマーICを使う手もあるのでしょうが、鳴き声の音程や間隔が日差しに応じてより大きく変化してくれることを期待し、バイポーラTrで発振器を組んでみました。
長周期と中周期の発振器(osc-1とosc-2)により可聴音発振器(osc-3)にゲートをかけます。これにより1,2分に一度、チュンチュンチュンと鳴かせる仕掛けです。ゲート2の信号はそのままosc-3の電源にしました。電源電圧を大きく変化させることでチャープ効果を際立たせるのがねらいです。圧電スピーカーには比較的大きめのPT08-Z185を使いましたが、屋外では音量が不足気味でしたので以下のようなバッファーアンプを追加しました。
全体の消費電流は回路定数にもよりますが2mA(@ 3V)前後でした。
3.実装・防水処理あれこれ
マルチバイブレータのC、Rの値を変えることでいろんな鳴き声に変化するところが面白いのですが、屋外で使うには防水処理が必要です。回路が組み上がったら全体をコーキング剤でモールドすることにしました。タイル目地の防水などに使われるシリコンシーラントですが、アマチュア無線のアンテナ工作に使っていてそこそこ耐久性があることを確認していましたので採用しました。基台はやはり百円ショップにあった丸太をスライスした吊下げプレートです。圧電スピーカーの防水はこんな感じになります。
「小鳥1号」
表面 裏面
試作品の一例ですが朝日が当たるとともに元気よくさえずります。ソーラーセルがむき出しなので太陽高度が上がって斜め入射になっても動作し続けます。なので、朝だけ鳴らしたい場合にはソーラーセルの前面にひさし、もしくはコリメータを取付ける必要があります。
小鳥をイメージしたのでosc-3の発振周波数を高めにし、チュン、チュンの歯切れがよくなるようにosc-2のデューティー比を調整してみました。また、osc-3の電源ラインに入れるパスコンの容量を変えるとチャーピング(発振周波数の変化)の度合いが変化します。このへんは好みの問題ですね。
私が試した回路は電源電圧に応じてこんな音を発します。
「小鳥2号」
電源電圧が3V以上でもけっこう鳴き方が変わるようなので、回路は同じでソーラーセルを2直にしてみました。太陽光が直射すると6Vになり、賑やかな雀のチュンチュンに変わります。こちらは圧電スピーカーの防水をちょっと手抜きしてます。写真(裏面)のようにポリエチレン袋をかぶせ基台に貼り付けただけです。これも現在、耐候試験中です。
表面 裏面
「ヒヨドリ1号」
我が家の庭によくヒヨドリがやって来て、雀を追い払いながら餌にありついてます。体が大きいので鳴き声もやや低めです。回路定数を変えてまねしてみました。
どうでしょうか、ヒヨドリらしく聞こえますでしょうか。
塗装前 塗装後
基台(100円)にお金をかけるのももったいない、ということで空中配線にしてみました。フレームは園芸用の3mmφアルミ線です。防水のため圧電スピーカーの穴にはポリエチレンフィルムを貼り付けました。防水はラッカースプレーです。ここでは白色ラッカーを使いましたが、クリアラッカーならソーラーセル面をマスクする手間が省けると思います。直接ラッカー塗装した電子パーツの耐候性は全くの未知数です。いつまでもつか楽しみです。