チャージアンプのノイズを減らすべく、J-FETをフロントエンドにしたディスクリート回路を組んでみたがなかなかうまくいかない。ノイズレベルがAm(アメリシウム)のγ線ピーク(59.5keV)を越えてしまっているようで、ピークが観測されない。ノイズとの戦いはなかなか厳しいものがありそうなので、もとのオペアンプに戻り回路定数をいじってみることにした。結果的にはノイズレベルを大幅に下げることはできなかったが、回路定数の最適化によりノイズが2/3程度に下がり、Amのピークが以前よりもはっきりと見えるようになった。
前回紹介したチャージアンプの場合、R1=50MΩ、C1=3pFに変更したところ、良い結果が得られた。また2段目のアンプには(気休め程度に)広域カットのつもりで帰還キャパシタ(10pF)を追加した。回路図を以下に示す。
チャージアンプ初段の帰還抵抗(R1)とキャパシタの値(C1)はノイズ特性にクリティカルなファクターである。当初、パルス幅を広げるために単純にC1を大きくしていたのだが、その後、R1の値も換えてみるとノイズ特性が若干ではあるが改善されることがわかった。ただし、オペアンプの個体差や実装形態の違いなどに応じてこれらの値を一義的には決められないようで、個々のアンプごとに確かめる必要がありそうだ。(実際、2台目につくった同一回路のアンプではR1=20MΩ、C1=2pFあたりでノイズがもっとも低くなっていた。)
普通に入手できるカーボン抵抗では10MΩが上限で、これ以上の高抵抗のものは値段がえらく高いようだ。今回の実験では10MΩ、1/8Wの安い抵抗を5本繋いで(50MΩ)つかっている。
パルス波形はこんな感じ。サンプリング周波数が低いパソコンのサウンド入力に対しても十分なパルス幅が出ている。
Amピークの測定結果を以下に示す(波高閾値:0.3)。前回の測定結果と比べると、左端のアンプノイズとAmピークとの谷間が深くなっており、また、ノイズレベルが下がった分、Amピークの半値幅も0.2程度(エネルギー換算で約18keV)に減少している。くびれがはっきりとし、メタボ脱出か、谷間もくびれもはっきりと見えた方がいいに決まっている。
PRA.EXE(波高解析ソフト)のパルス幅フィルタを試しに外してみた。
Amピークの形はほとんど変わらないのに対し、アンプノイズのカウントは20倍に増大していた。パルス幅の狭い(高周波成分が主体の)アンプノイズに対しては相変わらずパルス幅フィルタの効果が絶大である。