食品に含まれる放射性Cs量をBGOプローブと5cm厚鉛ブロックによる遮蔽箱を用いて時々チェックしているが、ここ数ヶ月の結果をまとめてみた。
測定ソフトにはベクモニを使わせていただいている。BGOシンチレータは分解能が低いのでカウント領域(ROI範囲)を大きく2つに分けている。領域A:500keV〜900keVのカウントからCs134とCs137の総量を、領域B:1300keV〜1600keVのカウントからK40を見積もっている。ただし、領域AにはK40のコンプトン散乱成分が含まれるのでK40強度に比例したカウント数を差し引く補正をおこなっている。また、領域BにはCs134のサブピークが含まれるのでCs強度に比例したカウント数を差し引く補正を加えている。それぞれの比例計数はCs(Cs134+Cs137)とKの標準試料を計測して求めた。Cs134のサブピーク強度は本体より2桁小さいのでCs濃度が高くなければ補正なしでも結果にほとんど差はないが、K40のコンプトン散乱成分の補正は影響が大きい。したがって、統計誤差以外に補正値の精度に由来するシステマティックな誤差というものにも注意が必要である。
測定結果を以下に示す。測定時間はすべて4時間であり、バックグラウンドは50時間測定している。
Bq/kgに換算しているので、サンプル量に逆比例して標準偏差:σが大きくなっている。試料が100gの場合、Cs濃度の標準偏差は約5Bq/kg、K40濃度の標準偏差は約100Bq/kgとなっている。慣例にならって3σ以下を”ND”と表示しているが、1σ以上(3σ以下)あれば結構CsやK40のピークを認識できるのでこの範囲にあるものを”ND*”と表示した。以下はそのスペクトル例である。
昨年に比べれば東国産の茶葉に含まれるCs量はだいぶ減ってきたがまだ西国産にはかなわないようである。この春に採取したフキノトウからはCsを検出したが、今回測定した家庭菜園の野菜類はいずれも検出限界以下であった。継続的に摂取する米などはもう少し精密に測定したいところだが、灰化処理などでCsを濃縮して測定するのがいいのかも知れない。
茨城県の山といえば筑波山が有名だが、その北側に同じくらいの高さの加波山というのがある。標高は700m程度しかないが周りの高い山がないのでマイクロ波の無線中継所になっている。ハイキングがてら、岩肌に生えている苔を採取してきた。場所は煙草神社近くの岩場。
誰が建てた(立てた?)のか知らないが、近くにはこんなものも、、、
採取してきた苔の種類はハイゴケというやつらしい。植物に明るくないので違うかも知れませんが、、、
まず、付着していた土といっしょに測定し、土を洗い流してから再測定、さらに水分をとばして測定してみた。
最初は30gあった試料から土を洗い落とすと重さは半分に減り、加熱して水分を抜くと重さはさらに1/5になった。加熱に使った道具は200Wの半田ごてと蓋付きの空き缶である。土を洗い落とした試料のCs濃度が増加しているので、Csは苔のほうに多く付着しているようである。加熱・乾燥後もCsのベクレル値はほとんど変わっておらず、試料の重量減少に対応して濃度が約5倍になっている。
こうした苔や葉っぱが枯れて沢の水や風でで運ばれ特定の場所に沈着すると、何年か後には新たなホットスポットが出現するかも知れない。