Small Loop Antennaの給電インピーダンス考


 スモール・ループ・アンテナ(SLA)の給電法として一般的なのが小さな給電ループ(ワンターンコイル)を使う方法である。その大きさはメインループの1/5〜1/3程度がいいらしい。インピーダンス整合をとるには給電ループの大きさ、メイン・ループとの間隔、ループ面の角度、など調整して、純抵抗の50Ωに近づけてゆく。

 最近は、複素インピーダンス(R+jX)の周波数特性を数10秒でとり終える便利なアンテナアナライザーが出回っており、自分のアンテナがどんな状態にあるのか簡単に把握できるようになってきた。私のような貧乏人にとっては決して安い買い物ではなかったが、いたたまれずRigExpert製のAA-30(価格は〜\24k)を購入してしまった。自作アンテナの評価に活躍しているのはもちろんであるが、給電インピーダンスについて理解を深めるため、紙と鉛筆を使ってスモール・ループ・アンテナのインピーダンス特性を解析してみた。

 下図(A)は給電ループを備えたスモール・ループ・アンテナの回路モデルである。L1は給電ループのインダクタンス、L2はメインループのインダクタンス、L'はループ間の相互インダクタンス、Rはメインループからなる共振器の輻射抵抗と損失抵抗の和、Cはコンデンサ容量(ループエレメントの分布容量を含む)である。これを相互誘導の等価回路で表すと下図(B)となる。

 図(B)の回路で給電端子におけるインピーダンス(Z=R+jX)をキルヒホッフの法則にもとづいて計算すると、

となった。これをグラフで示すと、下図のような関係にあることがわかる。横軸はω(= 2πf :f は周波数)である。

 このままでは数値の意味を実感しにくいので、2つのループの結合係数をkとして相互インダクタンスL'を置き換えてみる。また、無負荷時のアンテナのQ値:Q0を導入する。

これらの式を当てはめると、ω0の近傍(ωω0)では

となり、抵抗成分 Re(Z)の最大値は給電ループ単体のインピーダンス(ω0L1)をk2Q0倍したものであることがわかる。また、ピークの半値幅は

となるから、これはクオリティーファクターがQ0の共振回路におけるバンド幅に相当することになる。したがってRe(Z)のピークの半値幅を測定すれば、そのアンテナのQ値が求まるということだ。

 

 ここで1つ、注意が必要なのは、スモール・ループ・アンテナの実際のQ値(Qeff)はQ0ではなく、Qeff = ωL2/2・R だということである。RF電源(送信機)を接続することでRF電源の出力インピーダンスがアンテナのRに加味される。整合がとれた状態ではRF電源側のインピーダンスはアンテナ側のインピーダンスと等しいので、RF電源を接続したアンテナ回路の抵抗値はRではなく2・Rであり、アンテナのQ値(Qeff)はQ0の半分になる、ということである。


  スモール・ループ・アンテナの設計に便利な計算ツールがSteve Yates氏(AA5TB)のホームページに公開されている。これを使ってアンテナの特性を計算してみる。

(入力パラメータ)

(計算結果)

 このホームページで紹介した楕円形のスモール・ループ・アンテナの特性を推測するため、ループ周囲長がほぼ等しい直径2.6mの真円ループで計算してみたということだ。放射抵抗に比べ損失抵抗が圧倒的に大きいので、アンテナの性能(飛びの善し悪し)はQ値の大小で決まってしまうということがわかる。

 下図は自作アンテナ(楕円ループ)のインピーダンス測定結果。

グラフから読み取った半値幅は 5.11 kHzQ=690、ということで疑似計算の結果とほぼ一致。アンテナ作製過程でとんでもないヘマは無かったようだ、やれやれ

 

訂正(2014/09/19) グラフから読み取った半値幅は 5.11 kHz、Q0=690、これは無負荷Q0なので送信機をつないだ状態の負荷Qは1/2倍になる(Q=345)。Qが計算値(703)の半分程度であり、何らかの原因でロス抵抗が増大しているようだ。<訂正終り>

参考:「3.5/7MHz用Small Loop Antennaの放射効率  (2015/10/16)」

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