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■今週の戦略視点
破綻した「テロとの戦争」 2006年9月7日(木)
86%が「米国はより危険に」=対テロ戦の成果に疑念
−民主党報告書
【ワシントン 9月5日時事】米野党・民主党系のシンクタンクは5日、2001年9月の同時テロから5年に当たり、ブッシュ政権の対テロ戦争や外交政策の成果に強い疑念を呈する報告書を発表した。同報告書によると、軍事・テロ専門家を対象とした調査の結果、「米国は以前に比べ危険になった」との回答が86%に上った。また、対テロ戦争で米国が勝利しつつあるとするブッシュ政権の主張に「同意しない」と答えたのは83%に達したという。
「テロとの戦争」を掲げてアフガンやイラクに侵攻、両国を軍事的に制圧はしたが、ゲリラ活動を抑えきることはできず、アフガンでもイラクでも「テロ行為」は却ってますます増大し、その騒乱状況は深刻化している。イラクでは既に「内戦」の危機が叫ばれ、米軍やイラク政府はいわゆる「グリーンゾーン」内部で戦々恐々としている有様である。
アメリカの世論調査では、「イラク戦争でテロは増える」と回答するものは60%に上るが、テロが減ると考えるものは、半分の31%だという最新の報告がある。そしてイギリスのシンクタンクは、アルカイダの壊滅は「困難」と判断している。
アルカーイダ、世界に拡散 武力で壊滅「困難」 英研究所
【ロンドン=蔭山実】英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は5日、国際情報に関する報告書「戦略概観2006」を発表。この中で2001年の米国中枢同時テロから5年、国際テロ組織アルカーイダは組織力が低下したものの、テロリストは世界に拡散したため、武力による壊滅はもはや難しいとの見方を示した。欧米で共同して広範な対策を講じなければ、国際テロに打ち勝つのは難しいと指摘している・・・
米国を訪問した前イラン大統領のハタミ氏は、アメリカのやり方が却ってテロを誘発しているとアメリカの姿勢を批判している。
「テロ誘発」と米の外交批判、訪米のイラン前大統領
【ニューヨーク共同】イランのハタミ前大統領は米国を訪問し、イリノイ州で2日開かれたイスラム教関連の集会で演説、対テロ戦に重点を置く米国の外交政策がテロを誘発していると批判した・・・ハタミ前大統領は演説で「米国はテロと戦っていると主張するが、それがテロの激化と暴力を引き起こしている」と指摘し、米国が覇権確保と権勢拡大を追求していると批判。「そのような態度が世界中、特に中東における米国に対する憎悪の拡大につながっている」と述べた・・・
テロ行為は許される事でないことは当然だが、テロが現実に生じる原因にメスを入れない限り、力で抑えようとしてもここ何十年の世界の情勢を見ればテロとの戦争に勝つことは殆ど不可能と見做さざるを得ないであろう。
イギリスのタイムズ紙のインターネット版では、アフガン作戦での死傷率の高さに耐えられるのだろうか?と題する論評を掲載した。9月2日にカンダハル近くで英軍機が墜落し、14人が死亡したことに鑑み、終わりの見えないアフガンでの作戦に悲観的な見方が国内に広がっているという。
そして皮肉にも結局、テロとの戦争をしゃにむにに進めようとするアメリカこそ世界の安定にとっての最大の脅威だとヨーロッパ人は見做すようになったようなのだ。
http://www.angus-reid.com/polls/index.cfm/fuseaction/viewItem/itemID/13028
上記のサイトではヨーロッパの5つの国、すなわちイギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの各国の成人に対する世論調査で、アメリカが世界の脅威だという意見の者達が、30%で最大で、2番目がイランで23%である。北朝鮮などは中国やイラクの次で8%の人々が脅威と感じているに過ぎない結果となった。
アメリカがテロの脅威を喧伝し、アフガン、イラクへ侵攻、今回のイスラエルのレバノン侵攻に対しても当初はその侵攻を見守る姿勢に終始し、更にはイランへの軍事的制裁の可能性をちらつかせる姿勢に対し、世界の人々はそのイランよりもイランの脅威を喧伝するアメリカの方をむしろ脅威と見做している事実をアメリカは率直に認め、その政治・外交姿勢を見直す必要性が出てきたといえよう。 (K.I)
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