裏打ち用の和紙について

 昔から表装の裏打ちに使われる紙は、手漉きの和紙(楮・三椏など)で、本紙や布地の裏打ちには薄美濃紙(厚口・中肉・薄口)、中裏や増裏には美栖紙(同じく3種)、總裏(上裏)には宇田紙(同じく3種)が使われています。 最近は楮も輸入物が多くなり又機械漉きのロール紙も一般に使われるようになっています。
 私の教室では、本紙の裏打ち(肌裏)には本紙の厚さにより
薄美濃紙(@七宝)の薄口か中肉、布地の裏打ちには薄美濃紙の薄口又は国産楮のロール石州紙(Aの上、信風)、總裏には大判宇田紙(@白鳥)の薄口を使っています。
 總裏には在来の長判宇陀紙(@世界一)が使い勝手も良く、結果も最良ですが、高価で趣味には使えません。 また總裏用ロール紙(Aの中、長生)は、継ぐ必要が無いのは便利ですが、結果はあまり感心できず、私は色紙掛けやロール紙(A上、信風)で肌裏を打ったものに限り使用しています。
 和紙にはいろいろな銘柄があり、それぞれに特色があるので使い慣れた物が無難でしょう。

 初めて裏打ちをされる方は、ロール紙が安くて比較的使い易いのですが、30m巻きか60m巻きなので、手漉き和紙の端売りを何枚か買った方が、いろいろな銘柄を試してみて、手漉き和紙の特性を知る上でも得策と思います。
 Aの下はレーヨン入り障子紙です。 これは勿論家庭の障子紙に使えますが、私の教室では敷き紙に使っており何度も水洗いができます。 又額装の裏打ちにも適しており便利な紙です。
@ A