(2) 半紙の裏打ち(肌裏打ち)
 初めて裏打ちをしたいと思われる方は、まず半紙から始められると良いでしょう。 これが裏打ちの基本になります。
紙本(紙の本紙)と絹本(布の本紙)の違いは糊の濃度が主な相違ですし、本紙の大きさにより継ぎ方や裏打ちの方法(送り裏打ちか投げ裏打ち)が異なるだけです。

ここでは半紙を本紙とし、送り裏打ちで説明します。(投げ裏打ちは次の機会に述べます。)

@ここで必要となる最小限の道具ですが、出来るだけ周りにある物を利用してください。
軟らかい撫(な)で刷毛は、本紙などの皺を伸ばす時に撫で付けるもの、シュロの撫で刷毛は、糊付けした裏打ち紙を本紙などに密着させる時に使う刷毛です。
水刷毛は湿りを与えるのに使います。

@当面必要な道具
A作業台の上に、半紙の本紙、下敷き紙(レーヨン障子紙)、裏打ち紙(薄美濃中肉)、ヘラ差し、を準備しました
Bベニヤの作業台(テーブルで可)の上に半紙より広い下敷き紙をしき、霧吹きか水刷毛で湿りを与え、撫で刷毛で皺を伸ばし、その上に本紙を裏向けに広げます。(本紙の上と右側3cmほど下敷き紙が出る位置) 
■紙について
C本紙にも全般に湿りを与え、紙の伸びを見ながら少しづつ何回も丁寧に撫で付け伸ばします。 墨の上は強く抑えつけると滲みがでるので要注意。

D裏打ち紙(薄美濃中肉)を本紙より周囲3〜4cm広く、上部だけ5〜6cm長く切り、表を下にして本紙の上に置き、上部2cmを上に折り、その部分に水糊を付けて台に張り込みます。    
■糊について
E裏打ち紙を、糊貼りした上部へ折り返し、全面に水糊を良く塗り付けます。糊は中央から左右、上下、放射状と出来るだけ皺を避けて均一に伸ばします。

F糊付けした裏打ち紙の上部を両手で台から剥し、元の位置まで皺にならぬよう静かに戻します。

G予め水で湿らせておいたシュロの撫で刷毛で、裏打ち紙の上からシワを伸ばし、下の空気を追い出すような気持ちで丁寧に撫で密着させます

H裏打ち紙の周囲(端)に2cm位の幅で糊を着ける(回り糊)。 この時、左端に3cmx7cm位の紙のテープ(ヘラ差し)を本紙に掛かるよう乗せて置く(貼る)。 これは剥す時にヘラを差し込む為です。

I星突きで紙の端を持ち上げ、下敷き紙から裏打ち紙と本紙を一緒に剥し、両手で仮張り板(ベニヤ板又は板壁)に運び、シュロ刷毛で周囲のみ貼ります。本紙部分は押えず、糊が付かぬよう空気が入っているくらいが良いです。(大きな本紙の場合は上部だけの糊で吊るし干しにしてから、一度剥して軽く霧を打ち、再び回り糊をし仮張りする。)

J完全に乾いたのを確認し、ヘラ差しにヘラを差込み、起しぎみに板から剥します。

K作業台(シナベニヤが最適で、テーブルの場合はベニヤ板を上に載せる)の板目に沿って、まず一辺をカッターで切断します。

L定規に切断した一辺を合わせ、二つ折りにして星突きで幅を決め、もう一方も切断します。

M切り取った二辺を定規に合わせ、上下の辺を決め切断します。
Nこれで半紙の裏打(送り裏打ち)は完了ですが、更に三角定規で直角の確認をお勧めします。
 
掛け軸には、この状態で使いますが、色紙作りの場合は周囲は切断せずに使い、額には更に厚い裏打ちをした方が良いでしょう。

A

C

E

G


I

K

M

B

D

F

H

J

L

N

 戻る     次へ(半切の裏打ち)