「筋肉ー腱ー靭帯ー骨膜」という一連の筋肉系の慢性的な疲労が、それらの筋肉(系)を流れる毛細血管の血行障害を起こしたり静脈の血流を抑え、またリンパ管を圧迫してリンパ液の流れを悪くして鬱帯を生じているから、痛みや凝りなどの自覚症状が出てくる。
そこで、その過労からくる筋肉の硬直を緩めて柔らかくしてやることが必要になる。 それが、治療にあたっての「ポイント」である。 それで症状は消える。
そうした、緊張が積み重なって硬直してしまった筋肉を緩めるという「慢性筋肉疲労」の治療法のことを私は『触手療法』とよんでいる。
『触手療法』は、指圧やマッサージで凝った筋肉を揉みほぐすのとは違う。 いわゆる揉みほぐすことで緩む軽い筋肉疲労もあるにはあるが、「慢性筋肉疲労」ともなると、揉んだ程度でそう簡単にとれるものではない。
非常に高いテンションを持って収縮が連なっている慢性疲労の状態にある筋肉や腱、骨膜などは、揉みほぐそうとするような力を加えると、逆に激しい痛みを発することが多く、事実、揉みほぐすようなマッサージでは緩まない。
『触手療法』というのは、硬直している筋肉に対して、ソーッと圧し気味に触っていくことによって、その筋肉自身に異常状態であることを感知させ、その筋肉じたいが脊髄反射によって自動的に緩んでくることを待つというのが基本である。
急に疲労が溜まって過敏になっている筋肉は、ちょっと圧しただけでもワッと痛くなる。 そのような場合には、ほんのわずか圧すだけで筋紡錘や腱紡錘が可逆反応を起こすから、すぐに治る。
長年かかって凝り固まったような筋肉疲労で、もう知覚神経まで麻痺するくらい慢性化したものの場合には、力をグーッと加えてやらなければならない。 この場合には、たんなる『触手療法』では緩まないので非常に強い力で揉みほぐす。 そして痛みが出てくればその時点で『触手療法』に切り替え、効果を期待することになる。
いずれにしても・・・ 「筋肉が温かくなる」、「血流が脈打つ」、そして「筋肉じたいがグーッと動きだす」という、その三つの目安で筋肉が正常に緩んだことがわかる。
( *最新医学が解明する『触手療法』 福増廣幸 著 p、149〜p、156 より〜引用 )
* 國米秀明 (元龍谷大学非常勤講師、京都第一日本赤十字病院付属看護学校院外講師、福増医師に6年間指導を受ける)
「触手療法」の最大の特徴は、慢性筋肉疲労(正確には慢性筋肉系硬直)に陥って、 本来の長さに戻れない骨格筋などが自らの性質として元の長さに戻るのを主に誘発することを目的にしている。
2万4千人を直接治療した氏(福増医師)の研究結果によれば、人体の慢性筋肉疲労に陥った骨格筋は、僅かなきっかけであっても手がかりにして本来のふよふよの繊維状態に戻ろうとする性質をもっており、鍼・灸・指圧・アロマセラピー・気功・電気パルスなど物理的には全く種類のことなる働きかけにもかかわらず、似通った治療効果があがる。
( *「JACT誌」 Vol.5 2006、6、1 P、36より〜 引用 ) |