みんなの無事を、ただ祈りながら待っていることに耐えられなくて、杖の扱い方を習った。 少しでもみんなの助けになりたかった。 わたしでも誰かの役に立てると、信じたかった。 ── 目の前で人が死ぬ事もあるんだよ。 キルロイは、そう言った。 ── 自分の力が足りないばっかりに助けられない、そんな怪我人を看取る覚悟はあるんだね? 武器も持たずに戦場に居ることは、結局は誰かに負担をかけてしまうから、剣を習った。 お兄ちゃんには頼めなかった。 きっと反対されると思っていたから。 ── 戦いには常識も綺麗事も通用しないよ。 剣を持ったら、手を汚さずになんて済まされない。 ワユさんは、そう言った。 ── 守るためか奪うためかは関係ない。 人を殺める覚悟はあるんだね? ある、と、答えて。 でも本当は恐かった、これがその報いであるのなら、 ―― わたしはわたしの甘さを許さない。 |