黒い世界


くださいなと
そう言えたなら どんなにか楽でしょう
言ってみたいと思う反面 言えるはずがないと嘲笑う私がいるのです

もう一人の私は皮肉気に口を歪め
私の目を口を耳を――すべてをふさぎ隠します
呑まれるような闇と無音の中 聞こえるのは一つだけ
もう一人の私の声だけ
けたけたと狂ったように嗤う彼女の声だけ
狂笑と無音と闇の中 彼女は私を縛り続けるのでしょう

心地よい闇の中で
首が絞まる感覚に目を閉じて
私は今日もたゆたいます
私の存在だけがそこにある 黒い世界の中で
言えない言葉と共に眠りながら


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