解くために説くために?


手と 足と 首と
ああ あとそれから それから?
とりあえず 至る所にそれはあった
それはしがらみ
でも 私の一部だったのだ

ちゃらりちゃらりと音を立て
しゃらりしゃらりゆるゆると
それはひどく緩慢な動作でほどけていった
少しずつ動くようになる手足 クリアになる思考
迫りくる現実に 私は悲鳴を上げる

なんで!? どうして!?
馬鹿な馬鹿な馬鹿な
ほどけるはずがない ほどけるはずがない
―― ほ ど け て は い け な い

けれどほら 耳元でそれはしゃらしゃらと
私をあざ笑うようにほどけてゆくのだ
ほどけるはずがなく ほどかないはずだったそれは
私の意志に反してゆっくりと しかし確実にほどけていっている
あんなにかたくなに ぎっちり縛ったはずなのに
この身はどんどん自由になりかけている
怖い 怖い 怖い
自由になることがとても怖い

けれどああ きえてゆくきえてゆく
溶けるように熔けるように解けてゆく
私を解くために 説くために? ああ

もう 歩き出せる
もう 動ける
それでも私はかたまっている 鎖があった頃と同じ姿勢で
自由になるのが怖いから
踏み出すことが怖いから


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