コラムる

徒然なるままに、愛しのキャラクター達へ思いを馳せる。
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 21     「ヨ−ンとエストの未来予想図」(ファイブスター物語より)  
長編オペラマンガ「ファイブスター物語」。
作品中の膨大な登場人物の中で自分の心をとらえて離さない二人がいます。
青年ヨ−ンとファティマ・エスト。
ヨ−ンは幼い頃出会い、失ったファティマ・“バーシャ”(エスト)を求め続け、そのために自らの騎士の才能と宿命を否定し続けます。
 
ファイブスターにおける最も重いタブーと戒律をテーマにおいたこの二人の物語は、本作品の主人公「天照とラキシス」やその主人公に対立する人間代表「コーラス6とデイジナ」等に匹敵するほどのメイン・テーマ(影の)なのではないかと個人的に思っています。
 
この世界では先ず「騎士」として超人的な能力を持った者はその力を己のために使う事は許されず、かならず仕える主人(主に国の王)を得て国家のため、ひいては民衆のために尽くさなければなりません。
その代わり騎士は美しい人型コンピューター「ファティマ」をパートナーとして従属させ、巨大搭乗型兵器「モーターヘッド(MH)」に乗る権利を持ちます。
 
一方ファティマですが彼女(彼)達は人間と同じく赤い血と体温を持ちながらマインドコントロールを施され、「騎士に仕えMHを駆る」という絶対的なプログラムを負わされています。ファティマが騎士に命をかけて尽くすのは「愛情」ではなく「プログラム」なわけでファティマのけなげな忠節を「自分だけの物」と騎士が誤解すれば、そこには悲劇が待っています。
 
・・・と、いうのが物語の舞台での原則。
そのルールに真っ向から挑む(?)ことになったのがヨ−ンです。
ヨ−ンはバーシャと心が通じたと信じ、彼女をもう一度取り返すため旅を続けます。
しかしバーシャの正体は多くのファティマの頂点に位置する「ファティマの中のファティマ」、主人よりも専用搭乗MH<バッシュ>にその全てを注ぎ込む事で星団最強の能力を発揮する「ブラック・ファッティース“エスト”」だったのでした。
 
ヨ−ンが彼女を追い求めれば追い求めるほど、彼への世間の非難は増すばかりでしょうし、もしエストの鉄の戒律にヨ−ンの存在が食い込むとしたら、それはエストの心を壊すと同じ事です。
 
しかし、ヨ−ンは忘れえぬバーシャの面影を追って前へと進みます。
ヨ−ンの求めた物は幻想なのか希望なのか。
悲劇しか待たない、絶望しかありえない未来に向けてその詳細を永野先生がどう描くのか、興味の尽きないところです。
 
それでも、あの瞬間、プログラムを超えた一瞬、バーシャは確かにヨ−ンのために動きました。
「バーシャは貴方が大好きでした。ずっと貴方のバーシャでいたかった・・・。」
 
二人の出会い&別れ編は数年前に描かれた「黒き死の女神」で語られていて、近々連載でついに本編が描かれようとしています。
それに際して二人の行く末を予想し考察してみようと思います。
 
先ず二人をとりまく重要人物及びキーワードを箇条書きにして挙げてみます。
 
●二人を取り巻く人物(二人といってもほとんどヨ−ンを取り巻く人物ってカンジですが・・・)
1.ナトリウム・シング桜子
(ヨ−ンに想いを寄せるファティマ・マイト。実はコーラス王国のおとし子)
2.ワスチャ・コーダンテ
(天照家最重要人物。桜子やヨ−ンに面識があるらしい。学園の後輩?)
3.ファティマ・パルスェット
(ヨ−ンを主人にと希望するファティマ)
4.デコース・ワイズメル
(エストが主人に選びヨ−ンの元を去った原因。ヨ−ンが倒すべき目標)
5.東の君
(天照の分身。ヨ−ンの能力を認める。ヨ−ンがミラージュナイトになる原因?)
6.グラード・シドミアン
(エストの最後のマスター。彼が死んだ後エストは新たな主人を探すことはせず、MHバッシュの中で永遠の眠りにつく)
7.コーラス6
(上記理由で眠りについたはずのエストだが彼女のプロフィール中に6をマスターにするとの記述が・・・?)
 
●キーワード(注目場面)
1.1万年後の未来にヨ−ンに生き写しの青年“モンド・ホータス”が「エスト」の名が浮き出た黒い剣を持っている。
2.11巻の単行本描き下ろしの絵でヨ−ンとエストの別れのシーン?が描かれていてエストは泣いている様に見えるし、ヨーンの隣には見知らぬファティマが。
3.副読本「JOKER3100」の中でクロス・ミラージュの足元で休息をとるヨ−ンとパルスェットが描かれている。
4.「がんばれエストちゃん」(単行本未収録)の中でエストにストラト・ブレードを教えるログナーとそれを見守るヨ−ンが描かれている。(結構なごんだ雰囲気)
 
これらの事を総合して予想したのが以下の文です。(紫文字は妄想部分です)
 
■ヨ−ンとエストはパートナーを組む事はなく、魔導大戦終結後エストはログナーか天照の元に、ヨ−ンはパルスエットとパートナーを組む。
■ヨ−ンはミラージュナイトに入る。ワスチャ直属になる?
■桜子はマイトとしてミラージュ・マークを付ける。多分ヨ−ンやワスチャ関連でミラージュにつながりができたため。
つまり3人の交流は長く続く。引いてはヨーンと桜子がゴールインする可能性がかなり高い。
■エストがグラードを最後の主人と決めたのは「MHバッシュ」が動かなくなったためプログラム「シークモード」が作動しなかったため、と考えられるが、グラード本人にエストが今までにない思い入れがあったとも考えられる。(バッシュにグラードの愛称を付けていたりしたので)
更にグラードはコーラス王直属の部下であり黒い髪と青い目が誰かを思い出させる。・・・のでグラードはヨーンの血を引いているのではないかと想像。(桜子がコーラスの王女の異母姉妹なのでヨ−ンの子孫がコーラスに身を寄せる可能性は大)だから若い頃はヨ−ンにそっくり。もしくはヨ−ンの壮年期の顔がグラードそっくり。(なのではないかと)
■1万年後の未来に生きる青年モンドはヨ−ンの子孫。もしくは生まれ変わり。
彼の持つ黒剣はMHバッシュの素材から作られたもの。彼の元に剣が行ったのは偶然でなく必然。エストの想いが導いたもの。その剣に自らの名前を浮き出させる事でエストとヨーンは魂のパートナーとして真に結ばれる事となる。
 
以上が主な想像&予想です。(後半妄想がはなはだしいですが)
例に挙げた人物やキーワードを全て消化できていないのですが、とりあえず自分の中で確信的なもの(←?!)を取り上げてみました。
人物それぞれに大きな物語があるので一人一人を取り上げて考察してみたいのですが、長くなるので(今でも十分長い;)今回は見送る事にします・・・。
かなり大雑把な部分しか予想できていないので当たっているのか否かが全て作中で明かされることは遠い未来だとは思いますが、二人の苛烈で哀しい運命を応援するファンとしてここに未来予想図を書きとめておこうと思います。
 
いつか上で述べた予想に関する物語が作中で描かれた折、改めて考察&検証文を書いてみたいです。
 
                                2003.12.5
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