弾薬のロット検査(銃身の精度検査)
 塾生の諸君はスモールボア・ライフルの精度がほとんどのケースで弾によって左右されていることは認識済みと思うが、弾のロットによる精度差は非常に大きい。1999年全般の伏射競技の得点と、2000年の成績を比較すると圧倒的に2000年のほうが得点が高い。塾長が思うにこれは間違いなくテネックスの精度の若干の向上とラプア・ミダスの普及によるものである。国友経由で輸入された比較的新しいテネックスは、1995から1998年のものに比べ一般論として当たるようになっている。それはあたりまえのことだがその前の数年間のテネックスが余りにもひどかった。最も多くのロットを経験できる自衛隊体育学校ではまともに練習に使えるロットは2割にも満たないとコメントしている。また国際試合に使用できる精度のテネックスはここ数年皆無であったとのことである。
 朝霞射撃場の自衛隊体育学校のマシンレストはそれほど優れてものではないが以前は良い弾は10発のグループで安定して15mmを切っていたがここ数年は20mmを越えるのもざらで、15mmを切るのが良いほうだったとのことである。塾長の概念ではオリンピックに持っていく弾は5シリーズ連続して13mm以下というものであるが、今のテネックスにそれを期待するのは無理である。それでも最近はよくなったということであろう。ちなみに精度がましになったテネックスのロットは***1234(1999年)、***1234(2000年)、である。この系統だとみんな良いというわけではなく、ましになったという程度であが、今後の状況に期待したい。一方ラプアは比較的安定して精度が出ている。ロット番号3477Pは実験銃身では非常に良かった。 
弾の精度を正確に表現するにはCEP(Circular Error Probable)を使用する。発射弾数のうち50%が命中する範囲を50%CEP(ミサイルの精度表示に使用される;注),90%90%CEPと表現し、それぞれの数値と標準偏差を問題にする。我々では正確に計測するすべがないので、グルーピングサイズで代用している。グループに撃ち込む数も便宜的に10発にしているがロット選択の試射では1シリーズでは全く不十分である。最低5グループは必要であろう。グループの平均値を1とすると、グループ数によりそのグループは次の値を示す。
(資料出所;
USAMTU

グループの数

サイズ数値の分布

1

0.55-1.45

2

0.68-1.32

5

0.84-1.14

10

0.86-1.14

50

0.94-1.06

100

0.96-1.04

 
確率表からも確認できるように5グループでの比較は合理性があるであろう。
1つのグループで12mmが出て良かったなどという評価はあてにならない。
弾薬検査の実際をHTMLでスライド風に説明してあるので参考にされたい。
 エアー・ライフルのグルーピングテスト例
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注;アメリカの潜水艦から発射されるトライデント・ミサイルは12000km先のCEPが90mである。勿論カーナビを利用する。(話が逆か?)逃げても無駄…。戦を避けるのが一番のようだ。