サイトアライメント
 
サイトアライメントとは眼とピープとフロントリングの正しい配列(同心円)のことである。どの姿勢でも頬付けの過程でこのサイトアライメントを確認するわけであり、アライメントの精度はチークピースのセッティングに左右される。また上級者ではアライメントの出方により姿勢の良否の確認も行える。追加すれば、構えながら頬付けする方法は銃を水平に落ち着かせる段階で筋肉による頭部または眼球の位置の調整を実施してしまい誤った方法である。立射などで銃がまだ上方を向いている間に頬つけする射手もいるが良くない。頬付けは据銃の最終段階で実施することも正確な姿勢を再現するための重要な事項である。
ピープの中心を通過する光線の映像を網膜に得ることは重要なことである。すなわちピープサイトの中心を覗くことは、サイト調整の根幹をなす。ピープの1クリック移動量は0.04mm(標準の10クリックマイクロサイト)であるので眼球の位置はかなりシビアな精度が要求される。幸いにも人体は自動的に眼球を動かしてくれるので結構な精度が出る。しかし頭部の傾きが大きく変化すると、たとえ瞳孔とサイトラインのアライメントが達成されたとしても網膜上の映像を映す部位が移動するので、個人差はあるものの着弾は変化してしまう。(通常と異なる視細胞で映像を結ぶ)
エアーピストル照準映像オープンサイト射撃(エアーピストルなど)の際は、マイクロサイトを使用する場合に比べはるかにこのアライメントが弾着を左右してしまう。据銃行為の基本的ノルマもサイトアライメントの保持が第一優先課題となり、ピストルのグリップつくりの基本となる。正しいアライメントの下で外してしまった場合、弾丸は10点への飛行軌道に対し平行にずれて飛行する。一方アライメントが正しくない状態でフロントサイトを10点に合わせて撃発した場合はどうであろうか。10点に照準したにもかかわらず、すでにそのとき銃口は10点に対する飛行線にたいして角度を持って方向付けられており、予想もしない大失点に終わってしまう。
ライフルのマイクロサイトはこれほど極端な失点には至らないが、サイトアライメントが崩れること自体、その姿勢に何らかの問題点を含んでいると解釈したい。
サイトアライメントは上達すれば意識することなく、潜在意識のアクションとしてのエラーの検出技術として実行できる事柄であり、そのためには初心者のうちから正しく自動化できるように注意する事が必要である。
眼とピープの距離(アイリリーフ)が小さいと見かけ上のピープの径が大きくなり、同心円の形成が困難になると同時にアイリスによる被写界深度が浅くなり標的が薄く、ボケやすくなる。またアイリリーフが大きいとピープまでの空間の真横からの光線が照準の妨げとなりやすいのでサイドの遮眼が必要になるであろう。アイリリーフは照準映像の品質にも影響するので(明暗、被写界深度)アジャスタブルピープディスクの使用は大いに推奨される。一般にアイリリーフの大きさは5cm前後であろう。サイトに目をつけるような照準は(アイリリーフ2cm以下)論理的ではない。



 左図はピープ(マイクロサイトの穴)の大きさと照準映像の関係を通過する光の絶対量と、ピープ径の大小による被写界深度に注目して模式化したものである。

ピープを小さくすると、全体映像は暗くなるが被写界深度が深くなりリングや標的がはっきり見える。

ピープを大きくすると被写界深度が浅くなりリングや標的がボケやすいが全体映像は明るくなる。

各人の目の特性とアイリリーフの距離によりでどのサイズが大きくてどのサイズが小さいと定義することはできない。塾長の個人的例では通常ピープの大きさは0.9mm、雨が降って暗くなると1.6程度まで開き、標的に直射日光が照射するような日はピープ径はそのままで偏光フィルターを使用している。





可変ピープディスク。フィルター組み込みの様々なモデルがあります






被写界深度を大きくするため(照星と標的を見易くするため)ピストル用にはこのような小道具もあります


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