呼吸のコントロール呼吸模式図



射撃の際の呼吸のコントロールは後天的学習により潜在的技術として身につく技術である。呼吸には周期がありその休息期に撃発が来る。呼吸のコントロールは撃発タイミングと連携しており、通常据銃動作完了後数回の呼吸動作を経て撃発に至るが、据銃終了と同時に呼吸を停止するものもいる。撃発段階直前のごく浅い呼吸は肺の中の空気が入れ替わるほどの量の出入りが無く(死腔の容量以下の呼吸)、リラックスのためのメンタル的な技術として利用されると解釈すべきである。よって伏射などで5回も6回も最終的な浅い呼吸を繰り返すことは生理的には問題である。できれば1-2回でリラックスするリズムを作りたい。据銃の完成に至る呼吸では腹式呼吸が推奨される。肺の換気に有効なばかりではなく、メンタル的にもテンションの低下に有益である。腹式呼吸、丹田呼吸法とメンタルな問題は専門の書籍が多々あるのでそちらを参照願いたい。最低限鼻から吸って口から出す癖を確認してもらいたい。据銃中は多くの場合口が開くので、口で吸って口で吐いてしまう場合も考えられる。この方法はガス交換に関して不利である。
呼吸のコントロールで銃の上下方向の調整が可能であるが、据銃時間が長くなりがちであり初心者は姿勢の再点検により銃を方向付けることを優先したほうが良い。呼吸の停止は個人的には吐きながら停止に至ることを勧める。吐きながら停止したほうがリラックスしやすい。
撃発時期は呼吸停止後3-8秒程度の間であるが、一般に急がずしかも早ければ早いほど良いといっても過言でない。長く照準を続けると銃口の動きによる黒点の残像現象でクリアな映像が失われ、しかも最も重要な集中下での判断能力が低下してしまう。初心者が第1に訓練すべきことは呼吸のパターンを確立し、呼吸停止後撃発にいたる時間の制限を設けることである。勿論これは感覚的なことを表現しているのであるが、長い据銃を防ぐには呼吸調整に始まる集中のリズムを確立することにあるからである。
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