物見山

 「北甘楽」という呼称は、私の子供時代に終わってしまったが、その響きには昔日の味がある。この北甘楽郡と呼ばれた地域の山々を「西上州の山」と呼び低山登山やハイキングのコースとして以前にはブームの時期があった。登山に使用する地図にも「西上州」という分類が存在するから、かなりの人々によって登られてきたことだけは確かである。私は、そうしたブームのことは知らない。何年か前に偶然に書店で見かけた本に近くの山が紹介されていたのを奇異に感じて「そんな山があるなんて知らなかった」という次元で歩き始めたにすぎない。しかし、この低山ハイキングという奴は、衰え始めた肉体を燃焼させるにはまことに具合がいい。なによりも無理をしなくていいから、中、高年向きである。登山という言葉には独特の響きがあって、高山登山、とくに最近の百名山ブームなどを見るにつけもっと楽な楽しみ方があるのにと思ってしまう。だから、「登山」ではなく「山歩き」という位置づけで私は自然を楽しんでいる。つまり、山登りなどではなく、犬を連れた山歩き程度というのが現在の認識である。

 さて、この辺りの山々は灌木、雑木が多く夏になればあまりお進めではない。岩山であれば夏でも楽しめるようなのだが、一般向きではない。ということで、夏と云えば涼、風渡る草原に勝るものなしというから、とっておきの場所を紹介することにした。あんまり当り前のコースなのでブーイングが出るかもしれませんが、場所なんてひとつのきっかけにすぎないのだから、あとは皆さんで適当に楽しんでもらえればいいのだ。

 「荒船湖」といえば、「道平川ダム湖」のことであると思っている方がほとんどである。近くには「荒船の湯」も出来てことさらその傾向が強いようだが、実は現在の「ダム湖」が出来る前から、その名称で呼ばれている小さな「湖」が存在する。場所は、「内山牧場」の近くである、と云えば「ああ、あそこ」と頷かれる方も多いと思う。神津牧場から物見山、八風山などが歩かれたのは随分前のことだ。今では遊歩道なども痛み、場所によっては笹や丈の高い草、灌木で歩けない所もあるようだ。しかし、昔日の面影を残すコースも残っており、ゆっくりした時間を作るにはうってつけのコースかもしれない。歩くのには晴れた日が良い、お進めなのが「物見山」からのパノラマ風景、360゜の全面一杯に西上州の山々が開ける。正面の浅間山と背後の荒船山が素晴らしい。また「物見岩」から見る妙義山は普段と違う顔をしていて、これもなかなか味がある。

 コースの紹介ですが、あまりにも知名度が高いのでごく簡単に記しておきます。下仁田から国道を内山峠へ向かい、内山トンネルのすぐ下に右に入る横道があり「山荘あらふね」の看板が出ている。この「山荘あらふね」のすぐ下に前述の小さな「荒船湖」があります。駐車場に車を止めて、右の道から「物見岩」を目指します。入口に「物見岩〜物見山〜八風山」のコース表示がある。「物見山」までは、歩かれている様子だが、その先は荒れている所もあるようだ。「物見山」からの展望が命のコースなので、くどいようですが晴れた日にどうぞ。また、すぐ側にはコスモスで有名な「内山牧場」があり、初秋に入ってもけっこう楽しめるハイキングコースである。

 

また、見に来て下さいね。お待ちしてます。

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