「パンケーキ・アイス」     島田千鶴詩集

        詩学社    頒布価格2200円


 「雨のふる日」

雨のふる日は何かの入口が

いろあせた花のように

音もなく ひらいているので

街角でぬれながら

奥の方を

じっと見つめなければならない


雨がたしかに

きざんでいたと思えたものは

実は ながいあいだ

日常の裏側では

つながっていた


いつも透明に見せようとしていたから

道ばたに落ちてから

かえって老いていったものだ


とおりすぎるものたちだけが

思い出したように

ときおり近づいてきては

しぶきをあげていく

街角

入口がまたひとつひらいて

私を待っている




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