麦藁帽子片手に
毎日紀行文を読み続けた
地図の上の赤い線が
何度か交差して
また好き勝手な方向へ伸びてゆく
国境の街のそのバッテンは
僕の「情死」点だったのかもしれない
「道行」に堪え得る「一九九四年夏」的な恋よ!
麦藁帽子は異星人の乗り物に似過ぎている
夏が終わる
真新しいテニスシューズが足の瘤みたいだ
秋の液晶ディスプレイの中に入ってゆこう
電子音の靴音をたてて
夏が終わる
計算通り酒に酔わされるのが不愉快で近頃飲む気もしなくなった
最後の一球
見逃せばボールだったろうか?