堀江泰壽詩集・木になる気      

         頒価1000円 紙鳶社


「透明なかたらい」


月のさす滴にぬれて
しずかに立ち上がっている塔が
ひとみに映っている

あいぶされている
気がつくまでのがらんどのたたずまいが
かぜにあおられている
しぐさを考えるしずかさで
時をめくっていく

この答をつつもうとするとばり
かくされていく感情もあり
私は 私にふれている
雲の白さが黒い林をまたいで
体内をゆっくり動いている

すでに 空を 塔を見ているのではない
なにか つながってしまった眼
透明にながれていくかたらい
私は 私の番人にすぎない


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