今日という日    堀江泰壽 

                 紙鳶社/東国叢書UE


「今日という日」

いつも そうして

新聞をくばる少年の背にのり

ふくらんできていた

自転車のブレーキの音

スタンドをたてる仕草に

ほんのリ

おしろい顔で目覚めてくる

今朝という時間


かわらぬ朝なのに

新しいものを予感させて

静寂のなかに静寂を生ませ

静寂のなかに静寂を眠らせ

赤城の背に光を宿し

子持の山に光を溶かして


いつもそうして

今日という日を思い

どこかに

忘れてきてしまったもの

思い出そうとするのだが



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