新聞をくばる少年の背にのり
ふくらんできていた
自転車のブレーキの音
スタンドをたてる仕草に
ほんのリ
おしろい顔で目覚めてくる
今朝という時間
かわらぬ朝なのに
新しいものを予感させて
静寂のなかに静寂を生ませ
静寂のなかに静寂を眠らせ
赤城の背に光を宿し
子持の山に光を溶かして
いつもそうして
今日という日を思い
どこかに
忘れてきてしまったもの
思い出そうとするのだが