泡陽    中澤睦士 

                 詩学社/頒価2200円


「雨の日粥」

昨日帰って行った人のことを

今朝は

あまり辛くもなく思い出して目覚めた昨夜半からの雨

耐えながら雪にもならず

庭木に道に続いており


まるであなたのこと

追いかけては行かせないかのように

それは降る

そして自らの納得に沿って遮る


粥を作れば窓が曇る

その白濁の汁

匙ですくえば悔いが沈む


米粒それぞれ別れて揺れて

外の雨音 吸ったり返したりのよう


旅の本や 地図帖などひろげて

なぐさみ物語 自分で作る


粥の熱さが唇触れて

薄明りの空に雀の群れが飛ぶ



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