詩集・吾亦紅        北原尚子

                 紙鳶社   頒価2000円


「吾亦紅」

あなたとは 花とか鳥とか

春の会話をしたことがあったかどうか

想ってみたけれど

記憶になくて


ただ 吾亦紅の話しをしたことだけが

鮮明に残っている

秋の季節の会話だったのでしょう


短歌講座で

吾亦紅についての解説があって

あなたが香れば 私も香れる

やはり いい男になるにはいい女が必要だね

と笑ったあなた

いい女になるにはいい男が

と笑ったわたし


墓で石と石を叩きあわせるのは

死者への合図と聞くが

今はひとり私の骨に響くばかり

深い眠りについている あなたは

思い出しもしないでしょう


秋のちょっとした会話

吾亦紅のことなど



「新刊」に戻る.......「TOPに戻る」

本のお申し込み、お問い合わせ等はここをクリックして下さい。