「歳月」     柳沢幸雄

                 紙鳶社  


 「地図」

手許にあった地図では

自分の家を見つけることはできなかった

たとえみつけたとしても

今の私には何の意味のないものになってしまっている

必要なのは家の位置がどこにあるのでなく

自分の探している道すじがどこにあって

どこへ通じているのかである


生きている限りその悩みは続く

意味のないものへの執着心

無駄な時間が流れていく

家はちゃんとあるのに

そこへたどりつけないもどかしさは

・・・・・・・・・・・・・・・


完成されていない地図だったのだろうか

それとも私がまだ道を探しあぐねているせいだろうか

地図に自分の家や道すじが

はっきりする頃は

私の死ぬ時だろうか



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