「水の行方」  須田和子詩集

   潮流出版社    頒布価格2060円


 「女の部分」

なんていつまでも鮮やかな赤

手も汚さず見つめあってきた

心臓から噴き出した血の

戻れないもどかしさ


生きていた確証を示す

唯一の手がかりだから

あの生臭さに耐えてきた女


重たい夜

羽ほどの軽い眩暈を覚えながら

気がつくといつも同じ枕だった


真水で洗い落とせる綺麗な血なんて

そう ざらにないことを

残っている女の部分で知った



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