美容師だった私のため 友人中島さんが 新鋭作家に依頼してくれたものだ 樽の 十三センチの円筒形 頭部は 棗形の丸味をもち ゆるいカーブの木目が縦に流れ 浮き彫りされた 少女の顔は 空を仰いで 髪を梳いている
我が家にきて 三十年あまり 木地塗だった少女は 小麦色になり いま 私が外出や帰宅するたびに ほほえんだり 声をかけてきたりする