詩集・鼬めめよし     

福田尚美  


        花神社 頒価2200円(税別)

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 髪を梳く少女

玄関に
「髪を梳く少女」と言うこけしがある

美容師だった私のため
友人中島さんが
新鋭作家に依頼してくれたものだ
樽の 十三センチの円筒形
頭部は 棗形の丸味をもち
ゆるいカーブの木目が縦に流れ
浮き彫りされた 少女の顔は
空を仰いで 髪を梳いている

我が家にきて 三十年あまり
木地塗だった少女は
小麦色になり
いま 私が外出や帰宅するたびに
ほほえんだり
声をかけてきたりする




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