金井治子詩集・ありがとう

         あさを社  非売品 

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「あせり」


眩しい光が心の隅々まで
照らしているというのに
見えないのです
ミミズのように這いつくばって
触角で探してみても
見つからないのです

時はベルトコンベアーに乗って
目減りしながら流れ続けている
闇雲に走ってきた過去
過ぎ去った日々に
あの街角に
忘れ物でもしてきたような不安

それは水面に波紋を残して
沈んだ水切り石のようでもある


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